ロバート・チャールズ・ウィルスン「時間封鎖」(創元SF文庫)

面白みの無い今どきSF
最初の謎をはじめ、謎存在が謎テクノロジー使って、問題を全て解決してくれたので、目出度し目出度し、という、酷い話。

本筋は謎の方に無く、初恋の幼馴染を忘れられない所為でフラれ続ける主人公が、難病の友人を看病する、という普通小説臭い話でした。けれど、そういう話として読むには、キャラが少なすぎて、図式的過ぎる感は否めず。

特に、破局が来る下巻の半ばまでは、SF味が乏しく、読むのが苦痛でした。破局後、モーテル管理人の親子や宗教青年との心のふれ合いシーンには、ロード・ムービー的面白さが出てきましたが。中盤までの退屈さには、ナノ・マシンで超人になるところも含め、「グリーン・マーズ」の退屈さに通じるものを感じました。(作中、「レッドマーズ」の言及があるので、意図的かも)

本作中、謎解きが全く無いってのは(続編では触れるでしょうけど)、シンギュラリティ系と同じく、インターネットという実感に乏しいスーパー・テクノロジーを只受け容れるしかない、今どき(2005年作)のSFならでは、なのかも。

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イエス・ウィー・キャン:ヴォイセズ・オブ・ア・グラスルーツ・ムーヴメント

音楽には、色は無し

バラク・オバマの選挙キャンペーン用のコンピレーション・アルバム。

ライナー・ノートは半分以上が、オバマの演説文で、曲自体も、クワイア引き連れたライオネル・リッチーが盛り上げる1曲目「エターニティ」以外も、アメリカ、世界、約束の地とそれっぽい単語が乱舞していて、景気の良い理想主義なオバマのキャラ・ソンっぽいです。

収録作は、キャンペーン・ソングだったスティーヴィー・ワンダーの名曲「涙をとどけて」といったベテランから、U2「プライド」「オーディナリー・ピープル」風の大仰なピアノ伴奏でカバーしたジョン・レジェンドや、マルーン5のVoアダム・レヴィーンのような若手まで多彩。

ネガティブなイメージが出ることを避けるためか、攻撃的なヒップホップは、カニエ・ウェストぐらいで、メロディの綺麗なソウル~合唱系ロッカバラードが中心の聴きやすい造りになっています。中でも、懐かしのアメリカン・ロックな、ジャクソン・ブラウン「ルッキング・イースト」、ちょっと、ジェリーフィッシュ的美メロ曲の、ロス・ロンリー・ボーイズ「メイク・イット・ベター」、ゴスペル系らしからぬ、しっとり系バラードのヨランダ・アダムス「ホールド・オン」シェリル・クロウらしからぬ(?)お祭り乗りの「アウト・オブ・アワ・ヘッズ」、あたりが、好印象です。

オバマ演説をサンプリングしたケブ・モのアメリカン・ザ・ビューティフルや、ビービー・ワイナンズ「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」は、さすがにネタ臭が否めないですが、素晴らしい歌であることは確かですし、音楽自体には政治色無いので愛聴しています。

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シルフ Vol.4(アスキーメディアワークス)

声優少女マンガ雑誌かな。

少女マンガ雑誌。

声優:神谷浩史のラジオは、「さよなら絶望放送」をはじめ、「マクロスF○※△」「ラジオ 夏目友人帳~秋ノ章~」、金田朋子との「ファミ通TV」と色々聞いていて、どれも軽快な喋りが、依然心地良くて、よく聴いているのですが、その中で、(「面白い」かは別として)最も楽しく聴ける番組が、文化放送で土曜25時から放送している「神谷浩史・小野大輔のDearGirl~Stories~」です。

番組自体が、雑誌「シルフ」を開きながら聴く、というコンセプトということもあり殆ど買ったことがない少女マンガ雑誌を、買ってみることに。赤色インクで印刷してあるページや、カラーコンタクトの表2広告が、いかにも、少女マンガ雑誌っぽい、というのが第1印象。

雑誌の性格なのでしょうか、本号の巻頭カラーページは、番組イベント特集と、他作品「S・L・H」のドラマCD関連での小野大輔インタビューという、かなり声優雑誌色が強い造りに驚き。掲載マンガは読み易さより、絵の美麗さを優先しているせいか、間延び感が強くて、楽しめませんでした。

本号掲載の小説「Dear Girl~Stories~ 響」は、同番組のスピンオフ作品で、番組出演者をモデルにした(南明奈告白事件ネタが楽しい)キャラが、主人公を務める何でも屋ものです。今回は、女の子の友情を取り持つ、イイ話を手堅く纏めています。

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山田正紀「神獣聖戦 Perfect Edition (上)(下)」(徳間書店)

旧作の名を汚さない力作

全5冊のタイトルまで発表していたシリーズを、3巻あとがきで「どうでもよくなってしまい、」と放り投げた「神獣聖戦」。で、3巻収録の「落日の恋人」での綺麗な纏まりをぶち壊す、4冊目「魔術師」でのコンピュータ・ゲーム風展開の陳腐さに呆れた記憶から、20年が経ちました。

20年後の「Perfect Edition」は、当初、5冊目の仮題「舞踏会の夜」モチーフを含む上巻と、旧作からの抜粋+「SF JAPAN」先行収録部な、下巻の内容は、完結編というより、旧作設定をパラレル・ワールド的に捉えた、一種のリミックス作品でした。

a~ha「テイク・オン・ミー」(実写と線画とを行き来するプロモーション・ビデオが念頭?)を使ってのパラレル・ワールド説明には、相当、無理矢理感あります(東急VS西武と「~のソ連」ネタは、吹き出してしまいました)が、元来、力業が作風みたいなこの作者の場合、この強引さは、アリ。実際、2008年という、経済状況をはじめ、世の中の先行きが不明で、外挿法的な未来世界には説得力ゼロな現在、現実と地続きの異世界を描くには、これ位の無茶は「必要」なのかも。少なくとも、不可知論に居直るシンギュラリティ系よりは、(無茶してる意志が伝わる分、)誠実さに好感が持てる方法論です。

新作パートでは、近作の「イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ」(SFマガジン連載中)同様、毒電波妄想が炸裂していますが、具体性有る旧作パートと組み合わっていて、小説の一部になっているので、違和感無く読ませます。何でもアリな、パラレル・ワールドものなので、お話に緻密さは無いですが、旧作パートでは勿論、新作パートでも、作者らしい熱っぽい文体が味わいの力作で、少なくとも、「神狩り2 リッパー」よりは、遙かに良い読後感でした。

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芦奈野ひとし「カブのイサキ 1」(アフタヌーンKC)

先行き不安な面白さ

前作「ヨコハマ買い出し紀行」を連想させる、人の少ない未来世界を、のんびりと飛行機で放浪。

世界の大きさが10倍になった設定や、鎌倉等、神奈川近辺の固有名詞は魅力的ですが、説明描写は殆ど無く、3話に登場する地表観測機構の船等を描写して仄めかす程度。前作の美少女アンドロイドのような、萌え/オタク媚び的な飛び道具も無く、物語的には、後期わかつきめぐみが描く仙人話を読んでいるかのよう。飛行機が題材ということで、宮崎駿「紅の豚」的自己陶酔の強いノリに向かう不安もあり、危ういバランスの上に立った面白さかも。

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CAROLE KING "WELCOME TO MY LIVING ROOM TOUR-JAPAN 2008 HER BEST HITS LIVE"

風車ギター

ピアノ+ギターの弾き語りライブ。

開演前に会場を見渡しますと、「SMAP×SMAP」エンディング出演(中居正広の唄は、誠実さが味と解っているつもりです。けど…)の縁で、番組からの花輪が有ったのに感心。

席は1Fの真ん中らへん(観やすい席でしたが)でした。ライブCDは、それ程でも…と思っていましたので、CD付きのリヴィングシートでは無く、S席を取っていたので、ちょっと悔しく。とはいえ、ミキサー卓に近い席故、背中にキャロル
キング
(力強い毛筆体で)スタッフTシャツを観ることができましたので、良い面もありました。

さて、コンサートは、1時間弱のダイジェストだった去年の公演とは違って、約2時間、休憩を挟んでの2部構成で、フル・スペックの全長版です。
内容自体は、力強いキャロルの歌唱と、対照的な繊細なギター演奏が目立つ、DVD"WELCOME TO MY LIVING ROOM"準拠のライブでした。

特徴的だったのは、各所に日本語を交えたMCで、DVDでルディ・ゲスコーナーでやっていた掛け合いを、双方、日本語で演じたのには驚き。他のMCも、英語の先生のような端正なイントネーションゆっくりと喋っていて、解って貰おうという配慮が伝わる感じが好ましく。3人ギターのパートで、「一曲ごとのギター交換って、ザ・フーみたいね」とMCの後、ピート・タウンゼントばりに風車ギターして見せた微笑ましさには、思わず、吹き出してしまいました。

他にも、観客に、手拍子ばかりでなく、横振り(田村ゆかりラブ・パレードでやる振り)をさせたりして、楽しませようという配慮が嬉しかったです。熟年カップル系が目立つ客層だったせいか、「歌って」とキャロルが促した「ナチュラル・ウーマン」で、大合唱に至らなかったのは残念でした(音痴なわたしも頑張ったのですが、ゆかりんライブのようにはいかず…)。

引き籠もって星を眺めるという、歌詞内容に合わせて、背景に瞬かせた照明が綺麗な「アップ・オン・ザ・ルーフ」、音響が綺麗で、ギターが映えた「きみの友だち」、多彩なピアノ演奏を見せる作曲家時代曲メドレー、オードレーベル時代以外からの選曲が嬉しい「シティ・ストリーツ」といったところが、特に印象に残りました。

2008.11.22 東京国際フォーラム ホールAにて鑑賞。

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谷川史子「おひとり様物語 1」 (ワイドKC)

女性主人公の短編オムニバス。

カップルでないことを選択した正統「おひとり様」だけでなく、遠距離恋愛者も有りなのに驚き。読者年齢層高めな印象のある「KISS」誌掲載作のせいか、「幸せ」を見いだす手段として恋愛する話が目立ち、レディース・コミック的な気持ち悪さを感じてしまいました。

ドングリまなこキャラの絵がポップなのは、読みやすく。

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Qティップ「ザ・ルネッサンス」

2008年に、この音でいいの?…わたしは好きだけど。
ア・トライブ・コールド・クエストのラッパーのソロ2作目。

クラブ・ジャズ的な音を多用したメロディアスなヒップホップだったア・トライブ・コールド・クエストの2作目以降、90年代初期の作品は、聴きやすさと黒人音楽的なグルーブ感の共存が素晴らしく、未だによく聴きます。

解散後のソロ1作目は、わたしが、ティンバーランド系の音に付いていけず、ヒップ・ホップの良い聴衆でなくなりつつあった頃のリリースということもあり、印象は薄いのですが、その1作目リリース時から数えても、久し振りの新譜。

本作は、2008年に、この音でいいの?(Tーペインとか、ゲストに呼ばなくて大丈夫?80年代風シンセ音は?)と心配になるような、懐かしい音でした。

まず、2ndの名曲「シナリオ」を連想させる掛け声で始まる「ムーヴ」、3rdのタイトル名を歌詞で引用した「ダンス・オン・グラス」など、かつての作品を連想させる音ネタに懐メロ的嬉しさが。サウンドの方も、暖かみのあるリズム・ボックスを使った、メロディアスな90年代初頭型ヒップホップという、ア・トライブ・コールド・クエスト時代を思い起こさせる内容で、今のトレンドはどうあれ、わたしは、好きな音です。

勿論、完全に昔のまんま、という訳ではなく。ゲストのいる曲で、特にベースが、いかにも人力演奏っぽい生音志向なのが、ア・トライブ・コールド・クエストとの違いでしょうか。中でも、ヒップ・ホップでの客演は珍しい(?)ノラ・ジョーンズを招いた囁き系メロディ曲「ライフ・イズ・ベター」のまったり振りが、印象的でした。

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iQube Headphone Amplifier

クリアさが上昇する魔法の箱かも
ヘッドホン携帯アンプ。

iPODの音質が良くなる「魔法の箱(『ではない』とポータブルヘッドホンアンプまとめサイト@Wikiでは戒めていますが)」に興味を持っていたのですが、中野ブロードウェイ内のフジヤエービックを覗いてみたら、中古品が、新品の2割引価格で出ていましたので、購入(最初は、電池蓋を開けづらいとの風評でしたが、中古品故か、簡単に開きましたので、ラッキー)。

別に、DAC等、iPOD自体を代える訳じゃありませんし、イコライザ+プラシーボ効果なのでは…という懸念もありました。

が、わたしが使っているイヤホン(Triple.fi 10 PROSparkPlug+Au1の、どちらも)の場合、iPODのイヤホン端子から直接聴くより、iQube経由のほうが、音の輪郭がハッキリして、低音、高音ともに、靄が晴れたようなクリアさを感じました。

iPODで聴く場合だけでなく、TVのヘッドホン端子で聴く田村ゆかりDVDも、イヤホン直差しで聴く場合より、高音がクリアになって、歌のキラキラ感が強まって聞こえるのが、嬉しい限りです。

単4×4の電池が、1日2時間聴いて2週間以上持っていて、フル充電から3日で電池切れになっていましたので、楽になった(iPOD充電池がヘタっているってこともありますが、交換も面倒ですし。)のも、好印象。

中古品とはいえ、結構、高い買い物でしたから、納得できて幸せ。

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ビリー・プレストン「ライヴ・ヨーロピアン・ツアー」

大きなギターの音で、熱さUP

ライブ盤。既発作を(音質良との触れ込みの)SHM-CDで再発したものです。ただ、わたしのCD-ラジカセで聴く分には、違う、と言われれば、そうかなと思う…レベルで、iPODで圧縮音源聴くのが中心ですし、SHM-CDだからといって、買い換える気にはなれそうもなく。

ただ、本作の場合、US盤LPの内容に追加された、一部曲・テイク違いの旧Uk&日本盤LPの内容が目当て。

US盤の内容も、ラフな熱唱&オルガン弾きまくり大会でしたが、UK盤は、さらに暑苦しく。選曲が、US盤が、バラードの「アメイジング・グレース」だったのを、UK盤はビートルズ(ビリー作でもありますが)「ゲット・バック」に変更、というのが象徴的な、ゴスペル・クワイアのアップ曲的な縦ノリぶり。UK盤は、音源故か解像度が悪く、一つ一つが大きめの音なのが特徴です。特に、ロバート・ランドルフや、ブルース・ロックと言う言葉が浮かんで来るギター(ミック・テイラー)の音が、とても大きく、そのせいで熱演感がさらにアップしています。

正直、ブルース系は苦手なのですが、キーボード中心の解りやすいサウンドと、曲のポップさのおかげで、聴きやすいです。特に、「ハイヤー」冒頭での、ギターとタンバリン(ビリー?)との掛け合いは、躍動感が素晴らしいです。

思わず、ビリーの熱い歌唱が見られる「バングラデッシュ」DVDを見直してしまいました。

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