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瀬名秀明編「ロボット・オペラ」

15本ほどハードディスクに溜まっていたのを纏めて観ると「鉄人28号」面白いなぁ、というのとは、あまり関係ないんですけれど、瀬名秀明編「ロボット・オペラ」を読みました。瀬名氏の著作は、「BRAIN VALLEY」上巻で、取材データの羅列ぶりに何か割り切れないものを感じて止めてしまって以来かな、わたしの場合。その後は日経サイエンスでのインタビュー記事で見かけていましたが、そういった氏のフィクションより事実指向という、私の先入観を裏切らない本でした。

年代で区切るというコンセプトで、ロボット/人工生物が出てくるフィクションと現実のロボット・コンピュータ開発について、代表的なものを紹介する紹介文パートと、ロボットもののアンソロジーパート、の二本立てに、フィクション・現実それぞれについて語る編者以外によるエッセイが加わる構成の持ち運びに気合いの入る大作です。

1.紹介文パート
紹介文は、「現実がこうなっていた、一方そのころフィクションでは」といった風で、両者を並べるような形で年代ごとに歴史的に語る文章なのですが、歴史観というか、現実とフィクションを通した「ロボット」観を提示せずに事実を列挙するので、まるで年表状態です。そして、その中で(おそらくは編者の好みである)アシモフ・アトム賛美だけが年表的記載から浮いていて、歴史書としては不誠実な印象を受けます。
ロボット観、つまり、小説における「ロボット」というガジェットの意義については、レムの文章を紹介しているぐらいで、しかもそのレム論(怪物、奴隷、愛玩物、神、の代用物)に対して、編者は批判的です。批判は良いけれど、対する自説が無くて年表的羅列だけだと、アシモフ’s3原則を批判したレムが気に入らないだけなんじゃ、、、って気もしてきます。
ただ、フィクションと現実を並べることがコンセプトなこの本からは、フィクションのロボット観を現実のロボット開発から作って欲しいと言う編者の意図を読みとるべきにも思えます。まあ、「現実はこんなに変わったのに、フィクションは偉大なるアシモフ・アトムから、この体たらく、ぶつぶつ」という苦言(最近流行のNewWave全否定史観?)にも見えるのですが、(作者の意図は別として)PC上のマクロという現実をロボット観にして作られたロボットものフィクションとも取れる柳原望「まるいち的風景」がエッセイ含め3カ所で取り上げられているのは、本書の意図に合致しているから、という気がするからです。勿論、ファンとしては嬉しいんですけれど。「まるいち的風景」、新刊出ないかなぁ。

さて、紹介内容自体は、ロボットものに分類されると違和感のある「最終兵器彼女」まで触れる幅広さで、事実、フィクションともに良くまとまってると思いますが、「To Heart」マルチについて短い言及が有る(アニメ経由)以外は、ゲーム紹介はほとんど無し(「鉄騎」「シーマン」のタイトルを挙げる程度)なのが残念。スパロボ系アニメ由来ゲー以外にもシューティング自機はじめとしてロボゲーは結構、語るべきネタは多いと思うんですけれどもねぇ。編者が不案内だからかなぁ。エッセイでも語る人がいないのには少々疑問。アニメだと高橋良輔監督によるエッセイ「ロボットアニメとエンターテインメント産業」は現場の人特有の面白さがあったので、ゲームでもマニアか開発者のエッセイがあっても良かったかと。「鉄腕アトム アトムハートの秘密」ラストでの、人間と共に歩み、そして、超えていくもの、というロボット観は、編者も好みか、とも思うんですけど。

2.アンソロジーパート
 アンソロジーの方は、個人短編集や「20世紀SF」で既読の作もあるけれど、特に海外物は、ファンタジィ的にも読めるスターリング「ボヘミアの岸辺」や、アクロバット論理のないイーガン「誘拐」など、わかりやすさを意図した良作揃いで、アシモフ「うそつき」、ディック「にせもの」あたりだと、あまりにもベタな名作というか、ヒップホップ用語でいうところの大ネタ感すら漂います。反面、小説出来でセレクトしたため、ロボットは出てくるだけで小説の主題となっていないものもありますが。
 ちょっと、60ー80年代の海外SF弱めの印象があって、わたしが、セレクトに前述のNewWave全否定史観的なものを感じてしまうのは、穿ちすぎですか。ただ、「ロデリック」みたいなナンセンス・スラップスティック小説を、3原則に触れている箇所だからって第15〜17章を抜粋っていうのはあんまりな気がします。編者の興味がナンセンス系に無い、って感じ。
国内ものでは海野十三「人造人間殺人事件」での「科学が武器である。サイエンス!サイエンス!」というフレーズが印象に残ります。解りやすいスキズマトリックスといった味わいでロボ色薄い藤崎慎吾「コスモノートリス」を締めに持ってきたのは、事実よりの作家という面で、編者共感点も入っているのかも。

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