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西尾維新「クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い 」/ジョン・クリストファー「トリポッド1襲来」

最近読んだ本×2

西尾維新「クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い 」
「このライトノベルがすごい」第2位だったこともあり、西尾維新に挑戦。今度はシリーズの第1作。

ライトノベル+ミステリといっても、スレイヤーズすぺしゃるの世界でミステリーの記号を茶化した快作「エイプリルの事件簿」みたいなのとは違って、ライトノベルの記号性を使ったミステリーでした。

冒頭からメイド登場、変口癖ヒロインから始まって、そっち系記号の嵐。深夜アニメと見まごうばかりの不自然さに、前半は読むのが辛かったです。その記号の上でしか成立しない、いわば記号が「必要」なトリックが明かされる後半をみると、文体込みの叙述トリックと見なせないこともありません。でも、そこでいう「必要」って、アニメ「双恋」が6つの萌え属性で12人のキャラを作るために双子が山ほど、という設定が「必要(なので、そこにはツッコムな)」ということと同じな訳ですし。

前作わたしの感想についてのtaky氏のコメント「音楽で言ったら、うん、ビーチボーイズ。」という部分、正直よく分からなかったのですが、不自然さ一杯の本作読了後振り返ってみると、普遍性あるポピュラーミュージックや、甘いコーラスの裏にドラッグの狂気、ということではなく、実在の「スマイリースマイル」の向こうに「スマイル」を幻視して/事情を察して、メタ的に楽しむってことかなあ。でも、読了する努力が要求される小説というジャンルで、別な努力まで求められるのは、、、

もちろん、アンチ・ミステリ、と自作を言及するメタ小説「虚無への供物」、に憧れて竹本健治が書いた「筺の中の失楽」、を出している出版社だからと持ち込まれた「姑獲鳥の夏」、の京極夏彦が、作者西尾氏にとっての神様(「波状言論」無料公開版中の西尾氏インタビューに依れば)らしいので、先人の「ぷに」=しもぶくれを、さらに誇張する後継者が連発した結果、こぶ取り爺さんばりの超しもぶくれ化してしまった、ある種のぷに萌え絵のように、メタ小説の最先端ぶりは伺えます。が、最先端であること以外の意義が見えないのが辛いところ。

ジョン・クリストファー「トリポッド1襲来」
解説によると、児童文学として有名なシリーズの後に書かれた前日譚とのこと。けれど、中身は本格的。洗脳侵略SFならではの、周りの人が変わって行く恐怖と、人間の心の闇が同士討ちパニック描写が延々と続き、希望のほとんど無い戦いを挑むラストまで絶望的逃走がメインの暗い60-70年代な暗さ爆発展開。主人公のキャラもちょっとひねくれているけれど少年らしい正義感とが並列複雑さもあって、児童書らしからぬ(って偏見か)読み応えがありました。

侵略SF繋がりの「凹村戦争」西島大介氏イラストですが、メタ/セカイ系のあざといノリは無しなので、その点は安心でした。

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