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こうの史代「夕凪の街桜の国」/中沢新一「僕の叔父さん 網野義彦」

政治性を人情派で包んだ快作×2。

こうの史代「夕凪の街桜の国」
12/14sakusakuで木村カエラが可愛い女の子広島弁を発揮していたなぁ、とタイムリーな時期に読了した作品。(ジゴロウ氏もそのとき言っておりましたが)男だと菅原文太さんっぽくなってしまいますが、の冒頭喋りで、一つのワールドを確立しているなぁ、と(「県警隊組織暴力」を観たときに)思いました。関西弁ほどメディア内キャラが確立していないので、新鮮味があるんですね、広島弁。

本作も、そんな広島弁や、広島カープ/野球ネタをからめつつ、初々しい恋人や父娘の心の触れ合いを描く、連作短編マンガ。広島という舞台ならではの描写が、(被爆という)この題材の作品が、えてして安直な告発調に陥りがち、という問題を、避けるための良いフック/ツカミになっています。広島とヒロシマを使い分けている「あとがき」に顕著な、この問題に対しての作者の距離感が、この種の(作中メッセージの正当性と物語の感動とを、分けて考えにくい)話に相当抵抗のあるわたしにさえ、敷居が低くて、すっ、と入ってきます。「夕凪の街」の抑鬱が、続編「桜の国」で解放されるという構成も大きいですが。

中沢新一「僕の叔父さん 網野善彦」
民俗学的調査を用いた、政治史/国家史を軸としない世界観で歴史を捉える網野善彦氏、の身内による追悼エッセイ。
 逆さまにした日本地図から、「日本という島国」という認識を逆転させる話(「日本とは何か」)なんかに顕著ですが、常識的認識を覆す、一種のパラダイム変換的な面白さを網野氏の言説は持っています。そしてそれが、奥能登の調査のようなデータ裏付けに由来する説得力があるのが、哲学の人とかの言説と違うところ。

その説得力ゆえ、過去の歴史分析に止まらず、日本人論などに転用したくなる網野氏の言説は好きだったので、確か、2ch歴史板網野スレッドでも話題になっていたエッセイが本になっていたのでチェック。
ま、身内によるヨイショであるわけですが、網野氏の左翼ぶりとともに、著者の父の左翼ネタも多く、未だ、左翼系の理想自体を疑うことはなかった時代へのノスタルジー入った感傷的な文章でもあるのですが、その左翼的理想の大風呂敷振りが、網野氏のいろんなものに転用したくなる言説に繋がっていることを主張する文章なので、一応、感傷にも意味はあるかと。

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