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トマス・M・ディッシュ「アジアの岸辺」

「歌の翼に」を読んだ頃はゴリゴリの「楽園の泉」最高!なA・C・クラーク信者でだったので(「歌の翼に」初読時は面白くなかったが、今読むと、、、)編者あとがきにもいろんな感慨を思いつつ、トマス・M・ディッシュ「アジアの岸辺」を読みました。

後半収録作は面白かったですけど、ニューウェーブSFが入っていないのは看板に偽りアリって気も、、、

短編集です。60年代作の前半と、70年代以降の後半の作とで、印象が分かれました。

いきなり理解できない環境〜それがホラー的不条理(「リスの檻」「降りる」)であるか、言葉の通じない異国(「アジアの岸辺」「カサブランカ」)であるとかいろいろ有るけれど〜にたたき込まれた主人公が環境に適応できないままに苦しみ、最後死ぬ話ばかりの前半。伊藤、浅倉、若島というビッグネーム訳のせいか設定が?な小説にしては読みやすいです。でも、そういう小説が読みにくくないってのは、本来世界は条理が通じる筈、という事実に対するアンチな意図のある/読みにくいこと自体に意義がある不条理小説を、世の中は不条理だということが常識の時代に読んでいるからだとすると、今更、読む意義が疑問、、、

むしろ、後半の文学者が奇を衒った小説が集まった後半作品〜「やる気マンコマンコ」な宇宙海兵隊が登場する「犯ルの惑星」、内職商法ネタ「本を読んだ男」、mixi招待乞食の悲哀を連想させる、コミュニケーション免許証を取るために苦労する男の話「話にならない男」〜には渡辺浩弐「プラトニック・チェーン」っぽい世相ネタ感取り入れ短編が、「ミステリマガジン」掲載作多しってのも納得の分かり易さで面白かったです。

でも、時代遅れの前衛と、皮相な世相ネタだと「ニューウェーブSFの旗手」のスゴイ人の小説を読んだ感には乏しいのも確か。

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