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小栗 左多里&トニー・ラズロ「ダーリンの頭ン中」

最近読んだマンガ

小栗 左多里&トニー・ラズロ「ダーリンの頭ン中」
落書きっぽい絵の女性マンガ家と、その夫でNGOやっている外国人との共著による語学系比較文化論エッセイマンガです。その出自からはどうも自然食愛好家的うさん臭さが漂いますが、実際読んでみると「語学」という具体的ネタがあるせいか、そんなことはなかったですどんなことを言われてもナルホド感が漂う語源ネタ(語源ネタでホラを吹いた清水義範の快作「序文」とか)はずるい気もしますけれど、具体例を出せるのは強みで、英語の場合だとXXだが日本語だとYY、的な語学比較文化論に説得力を与えています。

語学系比較文化論というか、英語と日本語の間にある翻訳不能な差異を比較した本というと、ロッキンオンの重鎮だった岩谷宏による「にっぽん再鎖国論〜ぼくらに英語はわからない〜」を連想してしまう元ロッキンオン読者なわたしですが、同書で日本語にはなぜ名詞に「THE」がつかないか(モノとコトの違いでしたっけ)、が論じられていたのを、本書の第2章でも「『THE』の真実」の章で思い出し、パクリとかいうことではなく、言語比較ネタだと頻出ポイントは変わらないなぁ、と妙な感慨がありました。

語学系に限らず、比較文化論エッセイの難所は、結局、どちらかを上に置くことになって、外国かぶれ/国粋主義のどちらかの立場から一方的にする説教臭くなってしまうところにあります。実際のところ、小栗氏のほうにはその種の図式性が透けて見える箇所もあるのですが、ラズロ氏は日英以外の多言語に親しんでいて比較を相対的に行う立場が徹底しているためか、その種の図式性から自由になっています。

そのことは第2章の終わりで、ラズロ氏が語学について

「(理解できることも)楽しいよ。でも、理解できないことも楽しいと思う」本書21ページ
という独白をしているのが象徴的で、この境地に達しているから、日本語や英語の特異性を、何らかの理想言語との順位付けではなく、単に相対的な特異性として語ることができていて、それが説教臭くない読後感に繋がっています。

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