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本田透「電波大戦 ぼくたちの”護身”入門」/フランク・ミラー「シン・シティ:ハード・グッドバイ」

最近読んだ小説以外×2。

本田透「電波大戦 ぼくたちの”護身”入門」
同じ著者の「電波男」巻頭で引用されていた柳下毅一郎が巻末解説(「オタコイ・オルタナティブ」)を書いている、という構造から窺えるように「電波男」のオルタナティブというか、対になる本。

「電波男」が、キーワード「オリはキモメン」に象徴されるような著者個人の人生経験をベースにしたオタク論だったのに対し、オタク恋愛経験についてのインタビュー集というかたちで、その論が他者のオタク人生に適用できるかを検証しています。具体例に終始しているので、(個/オリから出発せず、一般化された概念ありきで、その整合性のみを問う、ネット上の「非モテ」議論みたいな)議論のための議論にはなっていないのは、さすが。

結論というか、論の適用は、岡田斗司夫<<竹熊健太郎滝本竜彦<<倉田英之、といった具合で、人ごとにそれぞれ違っている印象。で、その差はオタク現役度というか、送り手側/受け手側のどちらに軸足を置いているかの違いに見えました。送り手側に立つことに自覚的になって、オタク偏愛を相対化できる人ほど恋愛方面に近づいているという。まぁ、面白いことを話そうと自己キャラ演出が入ったインタビューでしょうから、今、恋愛本を書いている人と、萌えアニメの脚本を書いている人の(本業への販促意図の)差が現れたということでもありましょう。

ただ、基本設定である「紙使い」の存在理由をうやむやなままに「R.O.D」を終わらせ、「かみちゅ!」でも物語の始まりである、神となった理由については無視で終わりそうな、倉田&舛成コンビ作品を観ていると、首尾一貫した何かを構成する表現者ではなく、自分らの観たい妄想のだだ漏れを、ファースト・アルバム的な全能感のままで続けている人って気がするので、世界観に合ってるなぁ>倉田氏インタビュー。

フランク・ミラー「シン・シティ:ハード・グッドバイ」
映画化記念で出たアメコミ。この人のバットマンもの以外を読むのは初めてですが、カラー無しでも200頁2800円かぁ。

スクリーントーンや薄墨といった灰色を使用しないモノクロ作品なので、初期山田章博的白と黒とを対比させたデザイン性の強い絵が特徴。曲線が少なくカクカクした絵なので、美しくはないですけど、影絵的演出は特に「決まってる」感があります。

ただ、作者も60ページで本来十分と言っているようですが、罠にはめられた男の復讐という、いかにもなハードボイルド話で、主人公もバットマンのような自嘲インテリではないため台詞も単純なので、絵以外には面白みは無し。

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