グレッグ・イーガン「ディアスポラ」(ハヤカワ文庫SF)
昔、SFマガジンに載っていた中編「ワンの絨毯」は、SF設定と認識・心の問題とをからめる、といった、いかにもイーガンらしいお話で非常に面白かったんですが…その「ワンの絨毯」をも1章として組みこんだ長編全体の印象は、短編のときとはちょっと違っていました。
冒頭数十頁の「我、思う故に我あり」を理解するまでの自分三人称描写から始まって、登場人物が架空素粒子論を考えている部分とか、架空設定と人間との相互関係より、架空理屈自体のほうに偏って登場人物は記号的存在に終始するという、「泰平ヨン」シリーズや、「宇宙船オロモルフ号の冒険」に近い印象の小説でした。もっとも、そんな印象を受ける理由は、逆4乗則の話(比喩としては、「らしい」、とは思いましたが)とか含めて、メインの架空素粒子論のアイデアをわたしが理解できていないからですけど。
メインとなる架空素粒子論話が終わった後に、いかにもSFらしい異星巡り話が付いていますけど、余談といいますか、エピローグといいますか、サービスシーンのような感じなのでSFっぽいですけど、イーガンっぽくない気がしてしまいました…と、いう感想を解説&訳者あとがきを読まずに読了して書いてみましたが、用語集も巻末に付いていますし、事前情報入れてから読むべき小説なのかもしれません。
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