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法月綸太郎「怪盗グリフィン、絶体絶命」(講談社ミステリーランド)

たった1年半で新作が出るとは!な、法月綸太郎の新作長編です。

「かつて子供だったあなたと少年少女のための」というキャッチフレーズが付されたハードカバーのシリーズ、ミステリーランドの1作。ということで、ほとんどの漢字にルビが入り、行間広めの350頁という分量の、いわば児童書フォーマットのシリーズです。分量のコンパクトさと、主人公が悩んだりはしないため、あっという間に読み終わることができましたし、読後感も良いです。

主人公はタイトル通り怪盗なのですが、怪盗とはいっても「あるべきものを、あるべき場所に」が信条という善玉ヒーローです。「レコスケ」での、可愛らしいイラストで「ミュージックマガジン」読者にはおなじみ、本秀康によって描かれる、(田川水泡「のらくろ」時代の画を思わせる)ぶっとい線の2色刷挿絵で描かれる、ブレザー姿がよく似合う感じ。そんな主人公の活躍するのに加え、作中、ブードゥー教の呪いとかいったネタも出てきたりするので、読後感良く楽しめる、レトロ冒険ものの味わいがあります(外国を舞台にしているせいか、大昔に読んだ「名探偵カッレくん」なんて名前も、頭に浮かんだりしましたが。教訓臭くないタイプの児童文学ノリというか。)

とはいえ、物語終盤、見えている現実が登場人物ごとに違うことによって成立するトリックが、精微に説きあかされていく展開もあり、充実感のある読み応えでした。単なる読みやすいだけの子供向け小説ではなく、きちんとした読み応えがあるところは、本格ミステリ作家法月の面目躍如でしょうか。

ボコノンとかの固有名詞お遊びがありますが、そういうの以外も楽しめる良作でした(ミステリーランド、次回は乙一の新作かぁ。そっちも期待しつつ)。

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