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鯨統一郎「タイムスリップ明治維新」(講談社文庫)

幕末、源平、戦国と、大河ドラマの舞台となる時代にタイムスリップするという、ラジオドラマを、毎年の年末年始、NHK-FMにて、田村ゆかりが演じておりますが、そのラジオドラマ1作目の原作小説。タイムスリップする時代に脈絡がないのを、メタ・レベルのお約束として許容すれば、歴史音痴の女子高生と、キザと、お調子者のタイムパトロール、という明快なキャラクターで軽快に進む、歴史SFシリーズです(今年もあるのでしょうかね?)

文庫化を期に読んでみた原作のほうも、肩の凝らない快作でした。

シリーズ2作目ながら、前作(未読)とは、主人公以外のキャラクターは連続せず、独立した作品として読むことが出来ます。むしろ、同作者の「邪馬台国はどこですか」との関連が(オチをバラしているわけではないですが)ある作品です。「邪馬台国はどこですか」続編「新・世界の七不思議」を読んだときに感じた、日本史ネタのほうが生き生きしていますね感は、作者も巻末(田村ゆかりとの対談。作家と声優という、立ち位置での対談なので、ラジオでお馴染みのゆかりん調は控えめ。)で認識していて、なるほど感が有りました。本作は得意の日本史ネタなのが快調な理由でしょうか。国産ミステリ畑の人らしい読み易さも、大きいです。

歴史改編者との戦いを軸として進むお話ですが、歴史改変度を(歴史と大体合っていれば良いという、大ざっぱな)ヒストローム値という数値で表示するため、ノリが、かなりゲーム感覚です。緻密にタイムパラドックスを云々するのではなく、リンカーンを奉行に据えたり、ノーベルを日本に呼んで幕府をダイナマイト武装させようとするような、歴史IFネタで遊ぶ小説として、楽しめました。

中でも、「竜馬がゆく」を本人に読ませて、やる気を出させる下りは笑いました。

図まで書いて計算方法を細かく説明していましたので、展開を期待していたら、ほとんど登場しない明治維新貢献度の話とか、未消化に見える部分もありましたが、殺人現場の間取りみたいな図を、小説中の箸休めとして挟みたかっただけかも、しれませんので、気にはなりませんでした。

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