ウェン・スペンサー 「ティンカー」(ハヤカワ文庫SF)
モテる理由の説明がいい加減な(逆)ハーレムものは痛々しい
(和風)魔法と科学が共存する世界を舞台にした話。ただでさえ、ご都合主義に陥りやすい、魔法科学共存ものなのに、主人公にしか理解できない超理論を使って勝つ話ですと、ズルい印象は否めません。いくら、主人公が天才少女とはいっても、主人公の天才ぶりを示す描写が乏しいまま、実は天才でした、と、記号的に説明する、本作の場合は特に。
もっとも、本作の魅力(?)は、設定の独自性にはなく。むしろ、過保護お兄ちゃん、気の回る弟、エルフの王子様(美形)、寡黙なボディガード(美形)、心優しき悪の手下(美形)と、主人公の周りに男たちが寄ってくる、という、女子向けジュブナイルっぽい、逆ハーレムをSFファンタジー世界で展開したことにあるのでしょう。
異種族恋愛もの+女子向けジュブナイル+ファンタジーといいますと、(昔、少々読んでいた)、前田珠子の「破妖の剣」を思い出しました。けれど、本作よりは、もう少し、真っ当に、異世界、異種族の描写をしていた気がします。
本作の、エルフの王子様がうっとうしい所の描写ばかりで、魅力を描写しないにもかかわらず、王子様が登場してきた途端、他のキャラは、どうでも良くなってしまうラストでは、作者のキャラ偏愛を、読者に強要するアマチュア的痛々しさを感じました。
アマチュアっぽさは、献辞と巻末での、本編と無関係な楽屋落ちテキストが入っているところにも感じました。マンガの欄外手書き文字みたいなものでしょうか。作者に思い入れが有るときなら、同人誌ノリも嫌いじゃないです。けれど、作者に思い入れのない新人の作品、しかも、伝統あるハヤカワ青背での同人ノリは、正直、見たくなかったです。
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