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ダン・シモンズ「イリアム」(海外SFノヴェルズ)

「後編に続く」展開とはいえ、キャラ、アイデアともに現状では魅力に欠ける…

「ハイペリオンの没落」「エンディミオン」2部作同様の、異世界観光SFです。

地球パート、ギリシャ・パート、火星パートの3本立て構成。異世界の描写をするだけの中盤までは結構ダルい展開です。終盤は、「ハイペリオンの没落」「エンディミオン」2部作同様の、3場面切り替えで、「…ピンチ」次のキャラの章「前のピンチは実は大したことは無かったのだが…次のピンチ」を延々と繰り返して、盛り上がりはします。が、作為性が強い盛り上がりの連発には、さすがに麻痺してきますので、読後の印象はあまり良くありません。

とはいえ、敵キャラが一列に並んで「戦いはこれからだ」エンド、といいますか、後編に続く展開で終わりますので、次巻で、盛り返す可能性もあります。けれど、「ハイペリオン」での、歌いながらラストのような、「ここで終わっても傑作」感はありませんでした。

いまいちな印象になってしまった理由は、皮肉屋の詩人マーティン・サイリーナスのような、愛すべきキャラがいた「ハイペリオン」と比べますと、キャラクターの魅力に乏しいからではないか、と。

ギリシャ・パートの主人公、ホッケンベリーは現代人なので、ギリシャ神話の英雄をシュワルッツェネッガーアンドレ・アガシみたいだ、と比喩する安っぽい感性(というギャグなのでしょうが)、SF小説で読むのは辛かったです。

地球パートでの主人公?、ディーマンのトイレねた繰り返しギャグもベタ過ぎて、笑えなかった(そのせいか、終盤、それまで有能なリーダーだったハーマンをさしおいて、唐突にスーパー・ヒーロー化する展開に爽快感が得られなかったです)し。
火星パートでの主人公、マーンムートオルフの仲良しロボットコンビは、上記二人のように萎える所はなく、好感が持てます。けれど、シェークスピアとかを長々とデータベース引用しながら喋っているのは、イノセンス主人公刑事コンビの会話を連想してしまいました。他のキャラクターも、囚われの神様プロスペローは、マトリックスの(確か)3つ目に出てきた、白服の神様を連想せずにはいられませんでしたし、緑のこびとな集合生命体ゼクは、まんま、ピクミンですよねぇ。

引用した神話ネタ以外のビジュアル・イメージに、既視観が漂いすぎているため、引用/見立て部分ばかりが格好良く見えてしまいます。引用でない、「イリアム」独自のキャラクタ性が感じ取れず、読んでいても、どこか、メタにネタを見ているような感覚が拭えませんでした。

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