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Mt.Fuji Calling in 山中湖 06(1日目。)

天気が良ければ、楽しい場所

1日目
Yama01やってきました、山中湖。
新宿からツアーバスで一時間半。(小さいですが)フジロックのグリーン的芝生で、音楽鑑賞。
あまり、がっついて観るより、芝生で遊びながら、屋台のカレーを食べたりレゲエ洋品屋を覗いたり、3000人位のまったり環境。


朝崎郁恵
奄美の人。キーボード、ドラム、サイドボーカル&三線。曲内容紹介も外人のしゃべる日本語のよう。いわゆる奄美民謡。元ちとせをシングル一枚で飽きた私には辛いです。

NIGHT JUNGLE
ジャムロック系インスト?。ラストのディジェリドゥー(20世紀ノスタルジアで主人公が吹いていたアボリジニの楽器)と、反復するベースラインのループが延々続く、ラストにやった曲が印象的。

山中湖は、終バスが17:30、最寄り駅へはバスで40分、ということで、車前提の場所。会場と宿とが離れていたこともあり、足が欲しいですね、と思って、Cyc01自転車借りて動いてみました。
下り坂で風を切るのが、楽しくなってしまって、気がつくと山中湖一周。


ROVO
インスト・サイケデリック・ロック、バイオリン入りロックバンド編成のせいか、ちょっとキング・クリムゾン色のテンションの高さがあります。ただ、延々と続くメロディ無き轟音演奏は生命力は感じますが、方向性が見えないのであまり楽しめず。メンバーの山本精一が担当した映画「マインド・ゲーム」の劇半と同じ印象。

自転車の疲れが出た為でしょうか、あるいは、日差しが気持ちよいせいでしょうか?ROVOの途中から、芝生で寝落ちしてしまいました。

SLY & ROBBIE AND THE TAXI GANG
スティーブ・リリーホワイトかってくらいにエコー入りのドラムと、ハウリング寸前状態のベース音量が、でかいです。さみだれ打ちのドラムが印象的。曲は、スパイ大作戦のテーマぐらいしかわかりませんでしたが、レゲエのリズムだと、全部同じ曲みたいなところもありますし、ホーンの人が歌を歌っていましたが、あまり上手ではなく、会場煽り役といった風情だったせいもありますか。一人ずつ退場して、最後にベースソロを延々とやってくれたのは、妙に楽しかったです。

日が陰ると途端に寒くなります。屋台でマフラー購入。

FEMI KUTI & THE POSITIVE FORCE
今回の目当て、その1。

基本的には、DVDと同様の、ダンサー、ホーン隊、ギター、ベース、ドラム、キーボード編成。FEMI自身はキーボードを弾く場面が多かったですか。

ダンサー登場から大盛り上がり(「良いケツ!」と野次った奴がいました。ナイス。)倍速アフロビートとでも言うべき、速いビートをこなしていたドラマーの叩きっぷりが印象的。パーカッションもほぼドラマーみたいに叩くツイン・ドラム状態だったせいもありますか。FEMIの声も後半は特によく伸びていました。「ストップ エイズ ファイト エイズ」というフレーズを繰り返す終盤の曲(「stop aids」)には速いだけでなく、グルーブ感もあり、今回のベスト。

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細川貂々「ツレがうつになりまして。」 (幻冬舎)

やや、綺麗ごと臭いですが、希望に溢れています

企業の電話サポート担当という、ストレスの多そうな仕事の夫が、患った鬱の闘病漫画です。作者は、妻で、漫画自体は、白くて線の少ない、女流エッセイ系漫画系に多そうな絵柄(巻末掲載のペットのイグアナ飼育漫画が普段の作風のようです。ペット自慢ものの常で、あまり楽しめませんが。

曜日ごとの締めるネクタイを決めているような、神経質な夫と、のんびり屋の妻といったキャラ配置のエッセイ漫画で、妻の支援を受けつつ、夫の、退職、作業療法としての家事、外出恐怖、自殺念慮といった鬱関連ワードの紹介と、鬱から立ち直るまでを、描いています。

作者の「理解ある妻」なイメージ演出には、やや綺麗ごと臭さを感じさせる面もあります。けれど、ところどころに入った、夫の理性的なエッセイ文が、ツッコミ的効果を上げていて、自分自慢、という私小説的な作品が陥りがちなところから、うまくバランスを取っています。妻の感性エッセイ漫画+夫の理性的文章の組み合わせで、バランスを取る手法は、絵柄も似ている、小栗左多里&トニー・ラズロ「ダーリンの頭ン中」連想しました。単に、女流エッセイ漫画界では、夫を出すのがメジャーな手法、ってだけのことかもしれませんが。

1頁4コマで台詞は2行以下、といった、文字数の少ない、あっさりとしたボリュームの作品で、(ある程度)治るところまでを描いているため、細かい所までの描写はなく、鬱病ものにしては薄口の印象です。自殺未遂といったハードな題材もありますが、夫の顔が、(「ちびまる子ちゃん」の)永沢君風という、せいもあってか、あまり、陰惨な印象は受けません。

ソフト目の展開からのラストが、元気になって良かったですね、という希望を与えるラストになっていることは、読後感を良くしています。

興味深いのは、クラシック好きから民族音楽に走ったり、以前は興味の無かったゴジラ映画を見まくったり、と病後の趣味変化が極端なところ。変化っぷりには、「治る」というより、(人間自体が)「生まれ変わる」、といった部分があるのでしょうか、と思いました。

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『カーズ』オリジナルサウンドトラック

イージーリスニングなアメリカン・ロック

本編自体は、尺のせいか、田舎の善人万歳イズムに終始する話が、あまりにも捻りが無さ過ぎて(カーブの曲がり方の話とか、未消化感もあって、100分に納めるべく無理して削った気も…)、印象が薄かったピクサーの映画「カーズ」のサントラ。

登場人物が、悲しげに昔の街を回想するシーンで流れた(本作と同じ、J・ラセター監督の「トイ・ストーリー2」中、人形を捨てるシーンで流れた、サラ・マクラフラン「ホエン・シー・ラヴド・ミー」と全く同じ使い方ですが)、ジェイムス・テイラーによる、ゆっくりした(カントリー色有り)バラード「アワ・タウン」が、70年代シンガー・ソングライターの大御所らしい出来。この曲目当てで、サントラを購入してみました。

サントラの内容は、ピクサーの映画ではお馴染み、ランディ・ニューマンの勇ましいスコア(カー・レースのシーン用)が半分。

残りの曲は、本編で使用した、カントリー色の強いロック、フォーク。

選曲も、田舎の善人万歳イズム、という本編のイメージに合わせて、ブルース的エグさは無く、ひたすら耳障りが良い、なごみ系の曲が中心。

作品の舞台が、旧国道66号線沿いの街という設定なので、主題歌扱いの「ルート66」は、チャック・ベリー版と、ジョン・メイヤーによるカバーを収録していますが、どちらも捻ったアレンジはせず、ピアノ入りの軽いロックンロールになっていて聴きやすいです。なんといっても、収録曲中で一番、攻撃的な印象を与えるのが、シェリル・クロウ(のダルなロック「リアル・ゴーン」)というくらいの緩さですし。

本CD中では、きらびやかなギターと、エコーがかった声が印象的な80年代ポップ・ロック風のバンドラスカル・フラッツによる、「ライフ・イズ・ア・ハイウェイ」の派手さが、ユルさからくる単調さから離れていて、好印象(彼らも、カントリー畑の出身らしいですけれど)。

カントリー色の強い、なごみ系アメリカン・ロックばかりとはいえ、(集中力を喚起して楽しむ映画というメディアの場合と違って、)音楽というメディアは、イージーリスニング的に聴き流すことも、また、格別ですので、なごみ系アメリカン・ロックも、愛聴しています。

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nico.(WILLCOM SIM STYLE対応音声端末)

懐かしきPHSの味わい。

W-ZERO3(WS003SH)の電池がヘタって来て、フル充電しても、待ち受け状態にしているだけで5時間後には電池切れてしまう状態でしたので、SIM STYLEW-ZERO3の通信部であるW-SIMを、別端末に差し替えて使う音声端末です。)対応端末「nico.」に手を出してみました。もっとも、わたしの場合、電話もメールも月に一度あるかどうか、といった程度の使用頻度ですし、必然性よりは物珍しさが、先に立っての購入ですけれど。本家WILLCOM-STOREにて、12800円。

「nico.」は、カラー液晶ながら、殆どの画面で、Nico画像
同様、白黒またはプラス1色、という、擬モノクロとでもいうべき、地味な画面構成です。今まで、W-ZERO3(WS003SH)画面のWindowsの4色ロゴを始めとして、ゴチャゴチャした色使いに慣れていた目からしますと、モノクロ画面って、そういえば、見やすかったんですね、という気になることしきり、です。

擬モノクロ画面やら、カメラ無し、といった仕様のせいもあって、「nico.」は、わたしの場合、京ぼんを使う以前に使っていた、3行表示のモノクロ液晶画面で、実用性一本槍だった、ストレート型PHSのことを思い出すような、懐かしい造りのPHSに見えました。

文字入力機能を試すべく、本記事の下書きを、「nico.」で書いてみましたが、「。」「わ」の行扱いなのにも、「確か、昔の奴も、こうだったなぁ」と、なにやら懐かしい気分になりました。キーボード付に惹かれてW-ZERO3(WS003SH)に移行しただけあって、久しぶりのテンキー文字入力自体には、やはり、辛いものがあるのですが。まぁ、昔のPHSには無かった予測変換入力機能がありますから、似た言葉を使う頻度が高い、連絡文の場合なんかなら、往事よりは楽になりそうですが。(予測変換入力をしていたら、「が」の1画面目に、「頑張って」が出てきたのに少々驚きました。メール一般の頻出用語だとしたら、「携帯からメール」の主要な用件が窺えるような…)

実用性については、送信ミスなのでは?と思ってしまう位のメール送信速度の早さや、2、3日、充電せずに放置しても、フル充電表示のまま、という、電池の持ち具合(待ち受け410時間とはいえ、W-ZERO3(WS003SH)もカタログ上では200時間らしいので、新品ゆえ、ということでもあるのでしょうが)といった点で、今までより、ストレス無く使えるのは、嬉しいです。

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「こころを休める大人の塗り絵DS」(Nintendo DS)

画面が小さすぎ。描いていて、心は休まりません。

最近は、テトリスDSを手慰みにプレイするぐらいで、もう、新しいゲームに挑戦する気概が無くなってしまっているのですが、ゲーム性の薄そうな単純作業ものなら、何とかなるかも、と思い、購入してみました。

最近、売れているらしい、塗り絵(絵本好きOL的な、裏に潜むドス黒さを綺麗事で覆い隠すような気持ち悪さもありますが…って「君が望む永遠」涼宮遙や、「頼子のために」西村海絵からの良くない先入観ですけれど。)の本、「大人の塗り絵」。本作は、同書の出版元、河出書房新社が制作協力に名を連ねている、塗り絵をDS上で行うという、ソフトです。

「塗り絵」作業自体が目的ですので、基本的には、筆種と色種を選んで、タッチペンで線を引き、間違ったら消しゴムで消す、という、お絵かきツール(mspaint.exeとか)と似た操作です(「塗りつぶし」機能こそありませんが、あったらすぐ終わってしまいますから)。ただ、拡大縮小機能が×1と、×2の2モードしか無いので、作業性(操作性)は良くありません。葛飾北斎「千繪の海 総州利根川」等の、大きそうな元絵を、DS1画面分(横61.4mm×縦46.1mm)に縮小した絵の場合ですと、なぞるだけでも、結構大変です。(ちなみに、20分ぐらいで適当に塗った絵の評価は、「器用な小学生」でした。)

わたしの場合、丹念に細かい部分を塗るのは、相当の根気と集中力が必要そうです。完成時すれば、達成感があるのかもしれませんが、描いていて、心は休まりませんでした。

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SFマガジン2006年10月号「現代女性作家特集/スター・トレック特集」

おブンガクな雰囲気ものばかり続く、特集にはゲンナリ

ケリー・リンク「しばしの沈黙」☆0
フィクション内フィクションや、時間軸入れ替えといった仕掛けと、おはなしとの関連が見えずに、技巧自慢ばかりが鼻につく印象なのは、作者の他作と似ています。雰囲気もの、1つめ。

アイリーン・ガン「-先端を追い求めて」
作者インタビュウ。ビル・ゲイツ「ワード」のプレゼンをした話とか、マイクロソフト元社員ねた(っていうか、ビル・ゲイツねた)は、ツカミには美味しいネタですねぇ。

マーゴ・ラナガン「地上の働き手」☆0
かんしゃく持ちの老人と子供だけの家庭は、アメリカ田舎ホラーの定番なのでしょうか。短いので、仕方が無い面もありますが…雰囲気もの、2つめ。

リズ・ウィリアムス「天使と天文学者」☆0
ヨハネス・ケプラーを主人公に、科学と魔法が未分化な世界の話。アーサー・ケストラーによるケプラーの伝記ノリでしょうか。雰囲気もの、3つめ。

ジャスティナ・ロブスン「小熊座」☆0
パラレル・ワールド/多世界解釈を、別居夫婦の比喩とした、って意図はあるのでしょうけど…雰囲気もの4つめ。☆0

ここまでが、現代女性作家特集。

連載夢枕獏「小角の城」☆-1
果心居士の挿話を1つ説明して終わり。この分量ではあまりに読み応えがない。

連載 田中啓文「罪火大戦ジャン・ゴーレ」☆0
引きで終わり。☆0

巻末の、「スター・トレック特集」は、BMR編集者の丸屋九兵衛氏監修。ということで、同氏によるbmr誌の連載エッセイ「雑学王」と似たノリ。ファンダム系の人が真面目に作りそうな、緻密な設定の説明ではなくて、ブリッジ・クルーの人種配分の変遷を説明したりする、アメリカ文化としてのスター・トレックにスポットを当てています。声優座談会も、作品世界の話ではなく、俳優と吹替担当との距離が話題の中心(カークではなくシャトナー矢島正明ということ)となっていて、舶来品の輸入手段として、の位置づけで、なされています。

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ケン・マクラウド「ニュートンズ・ウェイク」(ハヤカワ文庫SF)

安直

対立勢力の名前が「アメリカ・オフライン」とか、「ビリー・ブラッグ」の名前が出てきたり、っていうのは、政治ネタっていうより、固有名詞を使ったお遊び、に終始した印象です。チャールズ・ストルスの「アッチェレランド」ものみたいに、首までどっぷりネット感性の主人公といった、カリカチュアといえるような徹底ぶりが無いので、ギャグとしても、機能していません。

本作の作者による、SFM掲載の中編「人類戦線」でも政治用語ネタはあって、そこでは好印象だったのですが、中編の場合、少年の視点で進む物語だったため、少年の背伸びした感性の描写として機能していた、ということがあります。本作のような、多視点同時進行小説の場合ですと、作者の視点と言うことになってしまい、固有名詞ネタの作為性ばかりが鼻についてしまいます。

お話は、電脳化によって、死を超越し、超光速航法含めたロストテクノロジーも、ばんばん手に入る世界。遠未来を舞台とした、2004年刊行の英国産SFということで、ストロス「シンギュラリティ・スカイ 」レナルズ「啓示空間」に通じるような、「ポスト・シンギュラリティ」もの?

私が読んだ限りにおいて、「ポスト・シンギュラリティ」って、コンピュータ技術の社会への普及が、あまりにも急速だった状況を前にして、外挿法による未来予測を信頼できなくなった世代の作者が、あげくのはてに、「遠未来」という設定の自由度に居直って、何でも出来るスーパーテクノロジーを連発する、雑な小説のことをいうような気がしてきました。

活劇の面白さに力を注ぐという意図が見える場合は、スペース・オペラの背景設定説明をそこそこで省略する手法もアリだとは思いますが、Zガンダムばりに、エキセントリックな人たちの利害対立抗争、という面白みのないストーリーの本作で、背景テクノロジーが万能ですと、安直な小説、という印象が否めません。

読み飛ばすように読了。

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アフリカン・フェア

お祭り感に乏しいのが残念。

ビックサイト隣の東京ファッションビル内にあります、お台場のTFTホールにて、アフリカ紹介イベント「アフリカン・フェア」がありました。入場無料ということでしたので、9/3(日)に行ってきました。

基本的には、音楽、食、ファッション、雑貨紹介といった構成で、鶏肉屋の「チキン・マン」(鶏肉焼いて切るだけ、という単純さが好き)とか、春にやっていた、「アフリカン・フェスタ2006」でも見かけた名前もあったりして、同趣向のイベントですね、と、思いました。

アサラトをシャカシャカと鳴らしつつ、ビールの売り口上をがなり立てる売り子さんを観ているだけで、楽しいところも、「アフリカン・フェスタ2006」と、共通しています。ただ、ビルの中でのイベントということで、日比谷公園という場所での、野外路店のお祭りっぽい楽しさが薄まって、デパートの物産展のようなノリだった点が、少々、残念でした。

一応、目当てだった、音楽演奏は、「タンザナイツ」(キーボード入りのバンド編成によるユッスー・ンドゥールを連想するような、所謂「ワールド・ミュージック」。硬質なドラムの音が、やたらと大きいのが印象的。)と、「ニャマ・カンデ&ジェリドン」(和太鼓っぽい叩き方のジェンベを伴奏にした、声量のある女性ボーカル。娘さんとのダンス競演が楽しかったです。)の2組を見たのですが、椅子をびっしり詰めた会議室スペースでのダンスミュージックは、不幸といいますか、もう少し、解放感あるところで聴きたかった気もします。

勿論、夏の野外はツライ面も多々ありますから、冷房の効いたビル内のイベント、というのも、乙なものではある訳ですが。

あと、感じたのは、地理のお勉強的な各国の紹介パネルや、雑誌「ソトコト」によるオーガニック石けん(苦手な「ロハス」ノリも、気に障る程では無く。本来的には、悪いことではない訳ですし。)のお奨め展示があったりして、全体的な「貿易」色は、ジェトロ主催ゆえの個性でしょうか。

9/1を挟んでの週末という、事実上の夏休み最終日&お台場という場所のせいか、家族連れも多く、非常に混雑してきましたので、14:00ごろ退出しました。

Afair2k6写真は、会場にて購入したボールペン(シマウマの飾りが付いています)&本場のガーナ・チョコレートです。

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吾妻ひでお「うつうつひでお日記」(角川書店)

「鬱」設定の読書日記として面白い

鬱闘病日記ではなく、作家の殊能将之がweb上で書いている日記を連想するような、読書とTV(格闘とお笑い)と食事日記。読書日記はSFも多くて、情報誌「2ちゃんねるぷらす」の連載を読んだとき、「SFネタが多い」なあ、と思っていたのですが、納得。イーガンとか読んでいたのですね。

帯のキャッチフレーズは「何もしてません」。確かに「失踪日記」での、ホームレス体験みたいな、レポ・マンガとして興味深い対象は、出てきません。ですが、淡々と日常を綴る中に、安定剤を飲んだりする描写や、幻覚(台詞吹き出しの中に魔物のような)がシームレスに入ってくるつくりは、日常と異常とをシームレスに描く北野勇作「かめくん」タイプの作品に通じるものがあって、興味深いです。

レポ・マンガも好きですけれど、レポ・マンガの面白さは題材由来の部分を差し引くべき、と考えていることもあり、正直、「失踪日記」より本作の方が好みです。頭痛持ちといいますか、頭痛薬愛好家なので、ロキソニンとバファリンの違い話に共感できたから、というのもあるのですが。わたしも、ロキソニン→バファリン派。

とはいえ、自覚無く、同じ日の日記が二回続く部分には、さすがに、驚きました。記憶が飛んでいたのでしょうか。日記=日常感覚が不連続ですと、「ケルベロス第五の首」的、日記の矛盾トリック小説も形無し?否、日記内に「ケルベロス」の感想も入っていますから、本作自体が叙述トリック?かも、とか勘ぐってしまうのは、わたしの手記文体に裏の意図を探ってしまう病なだけでしょうけれど。

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映画「時をかける少女」

主人公感情移入度の高さが快(い)作(品)

CG異世界へ、ぽん!っと移る感じが、細田守監督のルイ・ヴィトンものアニメを連想させていて、「ハウルの動く城」降板や、制約の中での不自由さを感じてしまった劇場版「ワンピース」の借りを返した感のある快作です。

少女が、女仙人に会って、将来の選択について考える、という結末は、細田監督の「どれみと魔女をやめた魔女」と同趣向のお話です。ただ、何も始まらずに終わるラストが、終わりの始まりを痛感させた「…やめた魔女」と違って、主人公のやんちゃな行動に、何かが始まりそうな疾走感を持って劇場を出ることのできる(のは「時を駆ける少女」というだけあって、延々と、主人公が走っている、からでもあるのですが)作品です。

主人公の心情によりそう気持ちよさがありました。

映画鑑賞後、細田監督の「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」を観返してみて、クライマックスでの、伏線も無く行われる主人公たちのネット世界へのジャックインが、主人公に共感しているせいで、ただただ嬉しい気分になったことを思い出しました。クライマックスまで緻密に構成された設定的なツメを、クライマックスで、(あえて?)ぶん投げてしまうところも、共通していますけれど、それは作風というべきでしょうか。

電柱看板やら、携帯やら、街の人々やら、細々した小物で埋まった背景。背景的に現れる街の人々には、顔(意図)がなく、気に障るような、引っかかりの無い背景世界から伝わるのは、汚くも人間味もない緻密さで、、主人公のいる「世界」の棘の無さ(=萌え系にも通じる、心優しきぬるま湯世界)でしょうか。

緻密で引っかかりの無い背景と、キャラの等身も高い他キャラという、リアル系絵柄の中、昔のテレビまんが的デフォルメ口の絵柄で、コロコロ変わる、主人公の表情だけが、世界から浮いて強調されるつくりになっています。

主人公の感情を追いかけるように映画を観ることになるので、(主人公が憎めないバカ主人公の恋愛未満友情話っていう、当方に抵抗が少ないジャンルのせいもあり)感傷的な話の展開に入っていけました。

3人いる作画監督の一人が、舛成孝二監督の「R.O.D」キャラデザ担当の石浜真史、という理由ではないですけれど、小物ちまちま背景+マンガな表情のデフォルメ美少女という形で、少女の自由意志を肯定してくれる心優しき(ぬるま湯)世界賛歌ということで、舛成孝二「かみちゅ!」の傑作エピソード、第11話「恋は行方不明」を連想しました。「かみちゅ!」の舞台も尾道ということで、「時かけ」リスペクトが入っていますから、当然でしょうか。

と、いうことで、ほぼ満足の作品ですが、あえて気に入らなかった点を探すとすれば、キャストは、わたしのような声優アニメを多量に消費している奴には、抵抗のある非専業声優が中心だったことでしょうか。正直、非専業声優の鬼門であるところの、泣き声シーンなどでは、不自然さは否めませんでしたけれど、話の盛り上がりどころで、泣き声シーンのような感情を露わにするシーンが来る訳無かったですし、違和感が目立ちにくい、キャラ≒中の人なイメージ・キャストなので、醒めることは無く、十分、許容範囲でした(「ハウル」での倍賞氏が見せた惨状に比べれば…)。

最近、「桜蘭高校ホスト部」で、坂本真綾による、ナチュラル気味のスタイルが、気持ちよくなってきているという、当方の事情もありますけれど。

2006.07.21 テアトル新宿にて鑑賞。

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