« サケロックオールスターズ 「トロピカル道中」 | Main | 吾妻ひでお「うつうつひでお日記」(角川書店) »

映画「時をかける少女」

主人公感情移入度の高さが快(い)作(品)

CG異世界へ、ぽん!っと移る感じが、細田守監督のルイ・ヴィトンものアニメを連想させていて、「ハウルの動く城」降板や、制約の中での不自由さを感じてしまった劇場版「ワンピース」の借りを返した感のある快作です。

少女が、女仙人に会って、将来の選択について考える、という結末は、細田監督の「どれみと魔女をやめた魔女」と同趣向のお話です。ただ、何も始まらずに終わるラストが、終わりの始まりを痛感させた「…やめた魔女」と違って、主人公のやんちゃな行動に、何かが始まりそうな疾走感を持って劇場を出ることのできる(のは「時を駆ける少女」というだけあって、延々と、主人公が走っている、からでもあるのですが)作品です。

主人公の心情によりそう気持ちよさがありました。

映画鑑賞後、細田監督の「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」を観返してみて、クライマックスでの、伏線も無く行われる主人公たちのネット世界へのジャックインが、主人公に共感しているせいで、ただただ嬉しい気分になったことを思い出しました。クライマックスまで緻密に構成された設定的なツメを、クライマックスで、(あえて?)ぶん投げてしまうところも、共通していますけれど、それは作風というべきでしょうか。

電柱看板やら、携帯やら、街の人々やら、細々した小物で埋まった背景。背景的に現れる街の人々には、顔(意図)がなく、気に障るような、引っかかりの無い背景世界から伝わるのは、汚くも人間味もない緻密さで、、主人公のいる「世界」の棘の無さ(=萌え系にも通じる、心優しきぬるま湯世界)でしょうか。

緻密で引っかかりの無い背景と、キャラの等身も高い他キャラという、リアル系絵柄の中、昔のテレビまんが的デフォルメ口の絵柄で、コロコロ変わる、主人公の表情だけが、世界から浮いて強調されるつくりになっています。

主人公の感情を追いかけるように映画を観ることになるので、(主人公が憎めないバカ主人公の恋愛未満友情話っていう、当方に抵抗が少ないジャンルのせいもあり)感傷的な話の展開に入っていけました。

3人いる作画監督の一人が、舛成孝二監督の「R.O.D」キャラデザ担当の石浜真史、という理由ではないですけれど、小物ちまちま背景+マンガな表情のデフォルメ美少女という形で、少女の自由意志を肯定してくれる心優しき(ぬるま湯)世界賛歌ということで、舛成孝二「かみちゅ!」の傑作エピソード、第11話「恋は行方不明」を連想しました。「かみちゅ!」の舞台も尾道ということで、「時かけ」リスペクトが入っていますから、当然でしょうか。

と、いうことで、ほぼ満足の作品ですが、あえて気に入らなかった点を探すとすれば、キャストは、わたしのような声優アニメを多量に消費している奴には、抵抗のある非専業声優が中心だったことでしょうか。正直、非専業声優の鬼門であるところの、泣き声シーンなどでは、不自然さは否めませんでしたけれど、話の盛り上がりどころで、泣き声シーンのような感情を露わにするシーンが来る訳無かったですし、違和感が目立ちにくい、キャラ≒中の人なイメージ・キャストなので、醒めることは無く、十分、許容範囲でした(「ハウル」での倍賞氏が見せた惨状に比べれば…)。

最近、「桜蘭高校ホスト部」で、坂本真綾による、ナチュラル気味のスタイルが、気持ちよくなってきているという、当方の事情もありますけれど。

2006.07.21 テアトル新宿にて鑑賞。

|

« サケロックオールスターズ 「トロピカル道中」 | Main | 吾妻ひでお「うつうつひでお日記」(角川書店) »

映画・テレビ」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11715/11710418

Listed below are links to weblogs that reference 映画「時をかける少女」:

» 宮地奈々 ロリロリバスツアー [もえもえ ]
宮地奈々ちゃんがかわいい!!KARMAファン感謝祭 ロリロリバスツアー ついに開催☆カルマ初のファン感謝祭♪日頃、御愛顧頂いている皆様に少しでも喜んで頂こうと、最高のキャスト・設定を御用意し、おもてなしさせて頂きました。御主人様(ファンの皆様)へ、うちの最高のメイド達が心の限りの御奉仕をさせて頂きました。勃起どころ・ヌキどころ満載で休む暇がありませんよ☆ 新人×ギリギリモザイク 新人ギ�... [Read More]

Tracked on 2006.09.01 at 10:36 AM

» 桜蘭高校ホスト部 アニメ化決定! [桜蘭高校ホスト部 アニメ化決定!]
ハルヒの声は、坂本真綾ちゃんだよっ! [Read More]

Tracked on 2006.09.09 at 08:27 PM

« サケロックオールスターズ 「トロピカル道中」 | Main | 吾妻ひでお「うつうつひでお日記」(角川書店) »