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SF Japan 2006 Autumn 特集「恩田陸のSF」

年2回刊行の雑誌で、連作以外の連載増えるのは勘弁して下さい

恩田陸「愚かな薔薇」
女性の生理的感覚+吸血鬼もの+田舎ノスタルジー。連載第一回目としては、手堅い出来ですが、本作の「船」とか、設定説明をボカシたまま終わらせそうな作者ですので、雰囲気ものに終始して、読んでいてストレスが貯まりそうな不安があります。

特集での萩尾望都との対談は…作者が楽しそうだから、いいのでしょうね。

わかつきめぐみ「夜のしっぽ」
8ページのゴースト・ストーリーなので、シチュエーションだけ。ファンタジーだからこそ、背景を描いて欲しい、というのは欲張りでしょうか。

三雲岳斗「終末のガレキ」
オタ&作者自虐ネタが、痛々しい(意図的でしょうが)破滅もの。落書き少女漫画のような珍妙イラスト(緒方剛志)は味があります。

矢崎存美「BLUE ROSE」
「失恋女、テディ・ベア、癒し系。」のテンプレート。お話として読むには、捻りがないですし、共感出来る立場でもありませんし…

なかせよしみ「エリカさんの狂発明日記」「Tech Mates」
「向日性寝具」の話は、絵ならではの面白さがあり。

清涼院流水「透明人間の告白」
ダジャレ連作。ヨコジュン「気絶、怪絶、また壮絶。」(でしたっけ)で終わるシリーズを連想する読了後の脱力感。

火浦功「まだ、火星のプリンセス・リローデッド」
イラスト&広告を除くと、僅か2ページの連載。半年前の2ページを思い出せ、と云うのでしょうか。

夢枕獏「闇狩り師 黄石公の犬」
こちらも短い連載ですが、九十九乱蔵もの特有の雰囲気は一貫しているので、読めてしまう。

森岡浩之「優しい煉獄IV 窮鳥のはばたく日まで」
一話完結の連作短編なので、助かります。やさぐれ探偵と少年の交流もの、というベタさを、仮想世界という設定が、和らげています。

古橋秀之「百万光年のちょっと先」
人を喰ったユーモアは、どこかに意外性がないと苦しいです。反対に、萌え話はベタでも問題がないので、「十億と七つの星」が好印象。

大塚英志「夏の教室」
閉鎖世界で少女、少年、不良、謎の人。イメージ喚起性に乏しい「アイランド博士の死」というより、セカイ系と云うべきなんでしょう。「だから何?」感が漂うのは評論と同じ印象。

宮部みゆき「ドリームバスター 時間鉱山 PART2」
作者の水準。目標が見つかったぐらいで、連載は、まだまだ続きそうですが、単行本が出てませんでしたっけ?

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マンドレイク「アンリリースト・マテリアルズ VOL.1」

時代を感じさせるプログレ

P-Modelの前身となったバンドの未発表曲集。1973~78年のスタジオ&ライブ。

1曲が平均10分以上&長々としたキーボード・ソロが入る、純然たるプログレ(ッシブ・ロック)。Johnw Wetton風のボーカルにバイオリンも入る、「錯乱の扉」や、「太陽と戦慄」「レッド」風のギター・フレーズを連発する「犯された宮殿」は、まんま、King Crimson
ただ、平沢進のボーカルは、ソロ以降と同じ、語尾を引っ張るヨーデル風歌唱法。キーボードもギターもドラムも手数が多く派手な(Yes風?)プログレと、平沢の歌とが、なんともミスマッチな「飾り窓の出来事」が、好印象。ミスマッチぶりが、逆にプログレの一言で済まされない部分を持たせています。

とはいえ、聴いていて最も気になるのは、(インタビューで、パンクを聴いて変わっていった、みたいに言っていた記憶があるので)、このプログレを、P-Modelの「美術館で会った人だろ」に変節させる原因である、「パンク」の衝撃の大きさですが。

(ライブ・テイク部分は仕方ないにしても)、モコモコとした音質なのは残念。

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SAKEROCK「songs of instrumental」

「スーダラ節」のカバーに現代性

オールスターズ名義の 「トロピカル道中」と違って、本隊メンバーのみによる作品です。

インストバンドならではの歌を追求する、という決意表明が凛々しい、「インストバンドの歌」で始まり、「インストバンドの歌」では歌が担っていた部分を、トロンボーンが担当する変奏曲「インストバンド」で終わる、という構造が象徴的ですが、ハマケンの不安定なトロンボーンが歌う音楽とでもいうべき作品です。

音楽自体は、AsaChangが居ないせいか、あるいは、ドラムが、リズム隊としてより、パーカッション的に、チャカポコやるタイプなせいか、小綺麗で、線の細いクラブ系ジャズ系?そんな、音楽の中に、酔っぱらいが千鳥足で歩くような、トロンボーンが異化作用を起こしています。

ヘタウマとすら言いたくない、トロンボーン演奏は「aa」での、川澄綾子に通じる、あまりにも不安定な為、心配のあまり、思わず聴いてしまう魅力があります。「ラディカル・ホリデー」「青葉コック」といった、派手目のインスト曲では、他のパートから、あまりにも浮いていて、「歌と伴奏」ならぬ、「トロンボーンと伴奏」といった感じさえ、受けます。ホーン入り音楽は、アンサンブルとか、一体感とかを、良しとするものだと思っていましたので、この違和感は非常に新鮮です。

本作の白眉は、「スーダラ節」のカバー。ボーカル&ギターの星野源は、マクドナルドのCMでは、植木等に通じるような、C調な課長役でしたが、歌の方は逆。人間の欲望を歌った歌の筈なのに、枯れた弾き語りから、終盤の合唱団風コーラスまで、人間味のない歌いかた。対照的に、歌の後を覚束ない様子で追いかけるトロンボーンが、情緒性を醸し出しています。何といいますか、ハマケンという、愚かな(しかし、愛すべき、なんて、わざわざ言う必要はないですかね)人間を、神の視点から、(聴き手も)眺めるような構造の音楽です。構造を意識させるところが、「スーダラ節」への、単なるトリビュート・讃辞ではなく(そんなの、あまりに退廃的だ)、2006年に、あえてカバーをする意義を感じます。

「マザー」の主題歌、「エイト・メロディーズ」のカバーも、小学生による吹奏楽のような、演奏の微妙なブレが、少年のゲームだった「マザー」っぽい感じが、好印象です。

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ジョージ・R.R. マーティン「氷と炎の歌3 剣嵐の大地1」

快調な滑り出し。

「氷と炎の歌」シリーズ3作目。1巻、2巻までの上下巻同時刊行より、3分冊が月一刊行になったのは好都合です。持ち運びつつ読む分量(400頁+人物紹介50頁。)としては、手頃ですし、来月刊行と解っていれば、続きを待つのも楽しいです。

冒頭、ジェイムブリエンヌとの、映画「48時間」的な、掛け合いから、カタルシスある、ドラゴンが大暴れのラストまで、イベント盛りだくさん。第1分冊だけで、前巻以上に、各キャラに色々な出来事が起こっています。

中では、ブランの決意表明パートや、サムの行軍中、泣き言を言いつつ、勇気を示すパートが、”泣かせ”が得意な、作者らしい出来で、印象的です。

9視点の同時進行ものですが、多視点同時進行ものにありがちな、相対的に面白くなく、「早く、このパート終わらないかなぁ」、と思ってしまうようなパート、が存在せず、誰のパートも先が気になる展開なのが見事です。魔法的存在が、世界に散らばる驚異であっても、”理”ではなく、世界に対して特権的な説明をする人がいないため、世界設定を義務的に説明するパートが無いからでしょうか。

中心がなく、各エピソードが完全に独立してしまいますと、前巻のように、同時進行の意味が不明になる、という欠点もありえますが、本作では、ジェイムと、アリアとが酒場でニアミスしていたり、と、一つの世界っぽさも出ていて、前作の問題点も解消された感があり、好印象です。設定のみ共有で、個々のキャラ話を平行して読む感じは、多視点同時進行ものというより、「ワイルド・カード」のファンタジィ版を、マーティン一人で書いている状態。なので、シェアード・ワールドもの、の一種だと思って読むのが適切な気がします。

やたら、性描写が増えているのは、気になりましたが、登場人物が、抽象的な英雄ではなく、矮小さも併せ持つ人間であることを示す描写になっていますので、欠点とはいえません。

何にせよ、続きが楽しみ、です。

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三浦しをん「シュミじゃないんだ」

読みやすい。

小説を読んだときは、あまり、良い印象を受けなかった、三浦しをん、ですが、今度はエッセイを読んでみました。

直木賞予測する大森望らの対談では、BL、BLと酷評していましたが、本作は、B(oys)L(ove)マンガを紹介するエッセイ集です。

BLに興味のない人にも配慮した、と、著者も書いていますが、どの回も、前半は、作者の日常や、山田風太郎や、「ここはグリーン・ウッド」とか、BL以外の話をして、後半で、お薦めBLマンガを紹介する構成で、取っつきやすいです。文章も、腐女子的な痛々しさを自虐ギャグにくるんだ、非常に読みやすいエッセイでした。

基本的には、個々の作品紹介なのですが、BL論的なものもあります。「恋の成就、その後」を描いた昨今の少女マンガ(少コミ掲載作や、「NANA」あたりが仮想敵?)とは違う、内面描写多用の少女マンガ的なものの正当後継者は、むしろBLである、とか、男性向けエロとは違って、BLでは心の繋がりを描く、といった、他ジャンルと比較してBLを賛美する主張が、何度か出てきます。贔屓の引き倒しと言いますか、BLだって、欲望肯定なんじゃ…って気もしますが、対象作品未読なので、何ともいえません。

巻末収録の、著者自身によるBL短編小説「夏の思い出」は、著者の照れが入った為でしょうか、BLに、主人公が至る理由を外付けしているため、不自然さが目立ちました。著者も失敗と言っていますが、ジャンル外からは、BLに見えても、中の価値観からは未だBLには遠いのかも(エロシーンに慣れていないだけかもしれませんが)。

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SFマガジン2006年12月号「秋のファンタジィ特集」

「氷と炎の歌」特集での、視点人物現在位置マップは便利です♪

エレン・クレイギス「地下室の魔法」
60年代(?)アメリカを舞台とした、継母いじめもの。生活用品の固有名詞を(訳注で)読んでも、ノスタルジーのプラス修正は付きません。☆0

ジェフリィ・ウォード「イーリン・オク伝」
雰囲気ものの断片。長編のようなプロットが無いと、厳しいです。☆0

チャイナ・ミエヴィル「使い魔」
モンスター話。緊迫感がありました。☆1

連載 夢枕獏「小角の城」
猿飛佐助再登場で、次回から表題の城へと向かいそうです。ストーリーが進むといいなぁ、という希望を込めて。☆1

連載 田中啓文「罪火大戦ジャン・ゴーレ」
グロ大会継続中。麻雀編以来の「読者の皆さんへ」には笑いました。☆0

冲方 丁「マルドゥック・ヴェロシティ」
前作の前日譚とのことながら、序盤50頁では何も起こらないまま、終了。「終わりのクロニクル」を思わせる、体言止めの連発する文章で、日本人ラッパーが無理して韻を踏んでいるような不自然さがあります。読んでいて、少々、気持ちが悪くなりました。☆-1

連載 山田正紀「イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ」
古代日本を舞台にした「阿修羅の物語」スタート。前回までの、脳内理論100%ぶりからは、だいぶ普通の話になりました。面白さは未だ見えてきませんが。☆0

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「うたわれるもの -散りゆく者への子守唄-」セカンド・インプレッション

クリア時感想補遺。

前半部に続く後半に登場する男性キャラにも、声優の好演もあって、魅力がありました。

渡辺明乃演じる邪悪少年ハウエンクアの、キレた哄笑(テキスト系ゲームでお馴染み、文字表示領域を埋め尽くす笑い声を再現)や、飯塚昭三演じる、伝説の老勇者ゲンジマルの重厚な台詞も良かったです。が、なんといっても、池田”シャア”秀一演ずるラス・ボスディーの、バトル中演説(「大の虫を生かすために…」系)の胡散臭さが、いかにも、陰謀家の悪役らしい喋りっぷりで、最高でした。

ただ、世界設定を説明する筈のディーをさっさと倒してしまう展開のためか、ロジャー・ゼラズニィ作品っぽい神話オチSFとしては、説明不足の感はありました(アニメ版程ではないですけれど。)

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映画「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」

TV版の完全なる蛇足

楽しい時間は終わってしまっても、残っていくものはあることを、ぶっさんの位牌で象徴した、TV版最終話。

TV版の段階で爽やかに完結している以上、映画版続編が、蛇足になるのは、仕方ないところ。ただ、前作の映画版「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」には、唐突なCG怪獣や南国ロケに、「映画」というイベントによる祝祭感がありました。今回は、祝祭感もない、単なる懐古に終始しています。

前作は、お祭りだった第7話の再話でしたが、今回は、野球をしつつ、主人公である、ぶっさん最後の日々を、各キャラが回想を交えて見送る、シリアスが入った、TV版最終話の再話です。

TV最終話から3年後の設定で、「劇画・オバQ」ばりの、ぶっさんが復活しても、かつての頃には戻れない、という展開。けれど、モラトリアムもののキャラクタとして成立させるためか、「劇画・オバQ」での正ちゃんの奥さん的な、成熟の象徴がありません。アニマスターは、新生活に失敗しており、バンビは就職していますが、仕事に満足しておらず、また、映画中、単なる思いつきで、あっさり辞めてしまうので、成功しているようには見えません。登場人物の、成熟が見えてきませんので、得たものもあるから「戻るわけにはいかない」、ではなくて。顔面アップを多用する絵面から漂う、キャラの老化ぶりが、もう「戻れない」と、思わせているだけなので、共感はできず。

主人公たちよりも、当時を否定する、栗山千明(怖い女役は、ベタとはいえ、手堅い出来で、見どころに乏しい本作の清涼剤)演じる、鬼自衛官のほうに共感してしまいましたので、話には乗れず。終盤も、(宮藤作品らしく)ドラマチックな盛り上がりを拒否する展開ですので、なぜか改心してしまう鬼自衛官にもついて行けず、ダメ人間の団結一念発起ものとして見ることもできず、結局、話に乗れないまま、視聴終了。

映画用主題歌「シーサイド・ばいばい」をフェードアウトして、TV版主題歌「a day in our life」をバックに、旧作の名シーンを流すエンドロールの後ろ向きぶりが象徴的です。ハーレムものアニメが(話を終わらせるためだけに、)終盤、シリアス展開するのを観たときのような、モラトリアムものの最終回を纏めることの難しさ(&TV版での奇跡的達成)を痛感しました。

2006.11.03 ワーナーマイカル新百合ヶ丘にて鑑賞。

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kashmir「○本の住人 1」(MANGA TIME KR COMICS)

異常性不足。次作に期待

「わたしのおにぃちゃん」内のイラスト「わたしのおにぃちゃんの耳」等での、萌え絵と異常性の同居ぶりが気に入っていた、kashmirの、初単行本。

あずまんが大王木村先生的な変態兄と、常識人の妹との日常4コマまんが。

「粘土で桃太郎改」とか、変な絵が面白いエピソードもありますが、少なく。視点役の妹が、変態兄や、異常な友人の世界に対して、ノリツッコミ化せず、距離を置いている結果、妹まで巻き込んだ、萌え絵で異常な世界の形成まで至らずに、4コマまんがの変人キャラと一般人の対比で終わってしまっているのに、寸止め感を強く感じます。

寸止め感は、むっく「眼鏡のお年頃」を読んだ時に感じた、「タイガーブック」の暴走ぶりがなく、ただの4コマだなぁ、という感じに近いのです。ですので、掲載誌が、「眼鏡のお年頃」同様、萌え系のまんがタイムきららMAXとはいえ、ゆるい日常が基本スタンス(偏見?)の、芳文社のまんがタイム一派掲載という事情ゆえかもしれません。来月刊行の電撃大王掲載作「百合星人ナオコサン」は、もう少し狂っていた印象があるので、次作に期待。

いかにも、装丁担当、里見英樹らしい、帯裏での遊びは、ナイス。

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浅倉久志 編「グラックの卵」(国書刊行会 未来の文学)

浅倉節

アンソロジー。帯では「ユーモアSF/ベスト・オブ・ザ・ベスト」と、謳っていますが、無理してSF、と言わなくてもいいような作品も多いです。SFSFしているのは、天才発明家とロボット執事の掛け合い、という、ヘンリー・カットナー「ギャラハー・プラス」、壮大な設定ながら情けなく終わるシオドア・コグスウェル「スーパーマンはつらい」ぐらいでしょうか。

変な会社ネタということで、かんべむさし作品を連想した、ジョン・スラデック「マスタースンと社員たち」や、タイトルでネタばれの一発ネタな、ジョンノヴォトニイ「バーボン湖」などもあり。全体の印象は、ちょっと、不条理が入った、ユーモア小説(死語?)集、といったところ。

アンソロジーのコンセプト云々より、SFMで連載中の、浅倉久志コレクションと同様、「編者あとがき」での、浅倉氏が楽しそうにセレクトしている様子も込みで、楽しむべき本なのかも。その意味では、エッセイ集「ぼくがカンガルーに出会ったころ」ノリの「編者あとがき」が、一番面白いのかも。

本作収録中では、宇宙級のホラ話から、疑似イベントものっぽい社会描写が入り、綺麗に落としている、ネルスン・ボンド「見よ、かの巨鳥を!」がもっとも、気に入りました。

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U2&Green Day「The Saints Are Coming」/Christina Aguilera「Ain't No Other Man」他/牧野由依「ダークサイドについてきて-New Mix-」

最近買ったiTMS曲。驚きはないものの、好みのタイプ。

U2&Green Day「The Saints Are Coming」
歌う活動家な、Bonoらしい(?)カトリーナ災害チャリティ曲、とのこと。冒頭、空間を感じさせる、Bono囁き&Edgeのギターから一転、埋め尽くすようなギターと鼓笛隊っぽいドラム、サビはコーラスという、メロコア色、という分業体制。曲は、昔のU2フォロアーみたいな感じ。

Christina Aguilera「Ain't No Other Man」
アルバム「Back to Basics」より、Gang StarrのDJ Premier製作の4曲「Ain't No Other Man」「Thank You (Dedication to Fans...)」「Back In the Day」「Still Dirrty」をつまみ食い。久しぶりに聴く、サンプリング時代のヒップホップは、ゆったりとしたグルーブ感が、なんとも耳に優しいです。
Gang Starr「Take It Personal」あたりを連想させる、落ち着いた「Thank You (Dedication to Fans...)」が、特に良かったです。

主役のChristina Aguileraの歌は、肺活量はあって、高速ダンスものに向いていそうな硬質の声で、肺活量自慢系でしょうか。非人間的な印象を受け、正直、好みの声ではありません。ただ、本作においては、非人間的な歌のせいで、DJ Premier製作の、地味なサンプリング音の反復に酔うことの、邪魔にならない、という利点もあります。

牧野由依「ダークサイドについてきて-New Mix-」
冒頭の歌いかたは、先代の(丹下)サクラっぽい声ながら、曲がポップですので、甘ったるい印象はなく。パール兄弟製作とのことですけど、「トロン岬」ぐらいしか覚えていないですねぇ。キーボードが突然入ったり、声を弄ったりするのが、80年代風なのでしょうか。

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「うたわれるもの -散りゆく者への子守唄-」ファースト・インプレッション

アニメ版との間の、メディア特性を生かした分業が、説得力を向上させています。

アニメDVDとの連動特典、「うたわれるものらじお 特別編」目当てでもあるのですが、久しぶりにPS2ゲームを購入。プレイ時間、約20時間、ゲーム中盤のPS2追加シナリオ終了時点での感想です。

「サクラ大戦」「東京魔人學園剣風帖」を想起するような、ヒロインとの交流も交えつつ、世界を救う、一本道のアドベンチャーゲームの途中に、S・RPGの面を挿入した作り。レベル上げのためのステージのあるヌルい造りなので、本格的S・RPGというよりは、キャラ演出の一種でしょうか。

アニメ版の脚本を担当した上江州誠のインタビュー(雑誌「コンプティーク」2006年11月号)では、「(原作ゲームの)アニメという形の翻訳」だった、と語っていました。インタビューを読んだ時は、「翻訳」ってことは無いでしょうから、原作ゲームのプレイヤーに対するリップ・サービスでしょうと、思っていたのですが、ゲーム版をプレイして納得。台詞を含めて、かなりゲーム版そのまんまだったのには、驚きました。特に、ゲーム序盤、トゥスクル建国ぐらいまでは、「そうそう、この台詞、アニメ版にありましたね」と、思うことしきり、です。

もちろん、アニメ版には、尺の問題もありますし、ボリュームに自由度のあるゲーム版の方が台詞を補うことができて、ベナウィインカラ皇との掛け合いなど、説得力を増しています。反面、オボロVSベナウィ練習試合のシーンなど、文章で、戦闘描写をするゲーム版より、アニメーションを使って、戦闘そのものを見せるアニメ版が優位に立つ面も有る訳で(比較するとショボイのは無論ですけれど、ジャクソン「指輪物語」型の群衆CGを使って描いたアニメ版の合戦シーンは、主役キャラだけで戦ってしまうS・RPGには無い、雑魚キャラも生きているような世界の広がり、を見せていました)。

ゲーム版とアニメ版とが、メディアの相違に由来する部分以外はなぞるように忠実な「翻訳」であるために、原作とメディア展開というより、互いを補完しあっている、ようにすら、見えます。

両者の重なりから、伝わってくるのは、メインストーリーの国造り物語。原作ゲームは、「To Heart」を作った会社のギャルゲーですが、今のところ、「サクラ大戦」にあったような、各ヒロインのお当番回は無く(ナ・トゥンク編のカルラぐらい?)、PS2なので18禁シーンが無いのは勿論、古代日本風国家が舞台なので水着でサービス・シーンもありません。結果、ギャルゲー的な、女性キャラの印象は薄いです。メイン・ヒロイン格のエルルゥをはじめとして、物語上、設定上、必要な存在としてのみ、存在している感じです。

むしろ、シリアスな戦いを象徴するベナウィ、ギャグシーンでのオチを担当するオボロ、追加シナリオでは美味しい役回りのクロウ、と、いった男性キャラ描写のほうに力が入っています。

男性キャラ描写優位の、最たるものが、主人公ハクオロに、小山力也、という声優キャスティングです。ゲーム中の、幼い娘に、おじさん、と言われて、しょげるシーンでは、高校生の娘を持つジャック・バウアー声が、ミスマッチなのでは?という気もしますが、「すまない」と謝る台詞が嵌る、包容力のある声質が、誠実なお父さん型国家指導者という、キャラクター描写につながっています(反面、恋愛色が薄まっている訳ですが)。

と、いうわけで、気に入っているので、(PS2ゲームは、DSに比して起動するのに敷居が高いこともあって、「ゴッド・オブ・ウォー」「FF12」「大神」と、3連続挫折でしたから)、久しぶりに、1回クリアするぐらいまで、プレイヤー側(のわたし)のモチベーションが持ちそうです 。もっとも、アイテム、CGコンプリートは無理でしょうが。

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