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ジョージ・R.R. マーティン「氷と炎の歌3 剣嵐の大地1」

快調な滑り出し。

「氷と炎の歌」シリーズ3作目。1巻、2巻までの上下巻同時刊行より、3分冊が月一刊行になったのは好都合です。持ち運びつつ読む分量(400頁+人物紹介50頁。)としては、手頃ですし、来月刊行と解っていれば、続きを待つのも楽しいです。

冒頭、ジェイムブリエンヌとの、映画「48時間」的な、掛け合いから、カタルシスある、ドラゴンが大暴れのラストまで、イベント盛りだくさん。第1分冊だけで、前巻以上に、各キャラに色々な出来事が起こっています。

中では、ブランの決意表明パートや、サムの行軍中、泣き言を言いつつ、勇気を示すパートが、”泣かせ”が得意な、作者らしい出来で、印象的です。

9視点の同時進行ものですが、多視点同時進行ものにありがちな、相対的に面白くなく、「早く、このパート終わらないかなぁ」、と思ってしまうようなパート、が存在せず、誰のパートも先が気になる展開なのが見事です。魔法的存在が、世界に散らばる驚異であっても、”理”ではなく、世界に対して特権的な説明をする人がいないため、世界設定を義務的に説明するパートが無いからでしょうか。

中心がなく、各エピソードが完全に独立してしまいますと、前巻のように、同時進行の意味が不明になる、という欠点もありえますが、本作では、ジェイムと、アリアとが酒場でニアミスしていたり、と、一つの世界っぽさも出ていて、前作の問題点も解消された感があり、好印象です。設定のみ共有で、個々のキャラ話を平行して読む感じは、多視点同時進行ものというより、「ワイルド・カード」のファンタジィ版を、マーティン一人で書いている状態。なので、シェアード・ワールドもの、の一種だと思って読むのが適切な気がします。

やたら、性描写が増えているのは、気になりましたが、登場人物が、抽象的な英雄ではなく、矮小さも併せ持つ人間であることを示す描写になっていますので、欠点とはいえません。

何にせよ、続きが楽しみ、です。

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