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SAKEROCK「songs of instrumental」

「スーダラ節」のカバーに現代性

オールスターズ名義の 「トロピカル道中」と違って、本隊メンバーのみによる作品です。

インストバンドならではの歌を追求する、という決意表明が凛々しい、「インストバンドの歌」で始まり、「インストバンドの歌」では歌が担っていた部分を、トロンボーンが担当する変奏曲「インストバンド」で終わる、という構造が象徴的ですが、ハマケンの不安定なトロンボーンが歌う音楽とでもいうべき作品です。

音楽自体は、AsaChangが居ないせいか、あるいは、ドラムが、リズム隊としてより、パーカッション的に、チャカポコやるタイプなせいか、小綺麗で、線の細いクラブ系ジャズ系?そんな、音楽の中に、酔っぱらいが千鳥足で歩くような、トロンボーンが異化作用を起こしています。

ヘタウマとすら言いたくない、トロンボーン演奏は「aa」での、川澄綾子に通じる、あまりにも不安定な為、心配のあまり、思わず聴いてしまう魅力があります。「ラディカル・ホリデー」「青葉コック」といった、派手目のインスト曲では、他のパートから、あまりにも浮いていて、「歌と伴奏」ならぬ、「トロンボーンと伴奏」といった感じさえ、受けます。ホーン入り音楽は、アンサンブルとか、一体感とかを、良しとするものだと思っていましたので、この違和感は非常に新鮮です。

本作の白眉は、「スーダラ節」のカバー。ボーカル&ギターの星野源は、マクドナルドのCMでは、植木等に通じるような、C調な課長役でしたが、歌の方は逆。人間の欲望を歌った歌の筈なのに、枯れた弾き語りから、終盤の合唱団風コーラスまで、人間味のない歌いかた。対照的に、歌の後を覚束ない様子で追いかけるトロンボーンが、情緒性を醸し出しています。何といいますか、ハマケンという、愚かな(しかし、愛すべき、なんて、わざわざ言う必要はないですかね)人間を、神の視点から、(聴き手も)眺めるような構造の音楽です。構造を意識させるところが、「スーダラ節」への、単なるトリビュート・讃辞ではなく(そんなの、あまりに退廃的だ)、2006年に、あえてカバーをする意義を感じます。

「マザー」の主題歌、「エイト・メロディーズ」のカバーも、小学生による吹奏楽のような、演奏の微妙なブレが、少年のゲームだった「マザー」っぽい感じが、好印象です。

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