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法月綸太郎「犯罪ホロスコープ I 六人の女王の問題」(光文社カッパノベルス)

マゾヒスティックなまでの作者のこだわり

「生首に聞いてみろ」と同じ、名探偵:法月綸太郎を主人公とした、星座モチーフの犯罪ネタ短編集。

2分冊の前半ということで、牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座まで。

各短編は、名探偵を登場させるべく、「警察組織の捜査力で解決する訳にはいかない状況」を作りつつ、それぞれ、星座の見立て犯罪になっていて、作者への縛りが厳しそうな造りです。作者はマゾでしょうか。もちろん、伝奇系の設定(犯人が怪人や異常心理者とか、)だったり、あるいは、時代物等、異世界を舞台にするなら、この縛りもすぐにクリア出来そうですけれど、本作では、動機を含めて、そういったものは一切ありません。パズルとしての公正さを考慮したのかもしれません。現代の日本(「冥府に囚われた娘」での、「脳内メーカー」ネタの描写には、思わず笑ってしまいました)を舞台として、合理的な人間ならではの犯罪ばかりなので、読んで、納得できる小説になっていて、読後感が良かったです。


まぁ、星座の見立てには、正直、苦しいところといいますか、駄洒落みたいな話、もありますが、”この”現代で、あえて、パズル的な犯罪小説を書こうとする作者の心意気には、感じ入るところがあります。(反面、既に「お約束」感のある「あとがき」での遅筆言い訳には、「やれやれ」感が炸裂ですが。)

本作は、2分冊の前半ということで、収録作(の星座)は、牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座までの全6作。「双子座」モチーフなので、「あだち充」ネタが登場する「ゼウスの息子たち」、作中の「都市伝説メール」が、嘘臭いリアルさを醸している、最終話「冥府に囚われた娘」が、特に良かったです。

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