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J.G.バラード「クラッシュ」(創元SF文庫)

作家がエロ妄想しているだけ。

前半は、交通事故で入院して、看護婦さんとかに、エロ妄想という、よくある話。

仏像の曲線にエロを見いだすみうらじゅん的妄想ノリを、ミュージックマガジンで湯浅学が連載していたような、何を見ても、「サン・ラーを思い出す」(という書き出しの)っていう、便利すぎるスタイルで綴った小説なので、特に、何が起こる、といった小説ではなく、作家が妄想しているだけ。

後半は、妄想の中心が、エロから、同性愛や、自殺願望といった異常性入った方向に移っていきますが、妄想が変態なのは、普通のことですし、240頁と、分量が少ないこともあり、凄く、異常って感もないので、結局何?という読後感でした。

この小説全編に「メタファー」有り、っていう序文(P.12)は、作者に言われると、そう読め、と命令されている気がして、反感を持ったせいもありますけれど、意図的に何かを読み取ろうとしないと、自伝的要素(P.K.ディック「ヴァリス」のような、超自然する訳でもないですし)のある小説と、いう説明で終わってしまう気が。

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田村ゆかり Love&Live 2008 * Chelsea Girl *

「武道館」に拘ることなく、いつもの

新譜の曲と会場限定発売曲の、春のおひろめ会的コンサートで、一昨年同様の位置づけ。「遂に武道館」「ここまでの集大成」的な大仰さも無ければ、「重大発表」も無い、いつもの、ゆかりんライブといった感じでした。

日本武道館のある、北の丸公園に着くと、桜が咲き頃。花見客が多数の中、会場付近はグッズ袋やはっぴで、別次元のピンク色、というところが「武道館」という場所に絡んだ面白さかも。

コンサート自体は、ステージから遠い2階席だったので、「上弦の月」での、せり上がり台で、近づいてくるような演出は、素直に嬉しく。「めろーんのテーマ~ゆかり王国 国歌~」での、観客側振付に左右6回転っていう無茶振りは、FCイベントのノリで楽しく。「「モンスターハンターポータブル 2nd G」をプレイしてみようかな、という気になるような、MCが楽しいのは言うまでもなく。

2008.03.28 日本武道館にて参加。

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映画「ライラの冒険 黄金の羅針盤(字幕版)」

B.G.M.が煩わしいだけの、R.P.Gファンタジィ

少女を主人公にした、異世界ファンタジィ。

サスペンス場面になると、途端にB.G.M.音量を大きくするのが、煩わしく、印象の悪い映画です。

会話するお供の動物が、(主人公だけでなく)全てのキャラに付いていて、動物の種類で、キャラの性格を描写するっていう設定は、動物占い的面白さがあります。ただ、後半、スーパーファミコン時代のファイナル・ファンタジーっぽく増えていく仲間キャラのせいで、お供の動物には、存在意義が無くなってしまっていて、悪い意味で、R.P.Gファンタジィになっていきます。

2時間を切る上映時間の所為もあって、サスペンスは大抵、便利な仲間の力で解決してばかりなので、盛り上がりに欠けます。毛がフサフサとした白熊のCGや、気球型飛空挺のビジュアルは良かったですが、でも、CG自慢も、飛空挺も、FFというか、R.P.Gファンタジィ的ありがち感を強めている訳で…

2008.03.08 新宿バルト9にて鑑賞。

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アデル「19」

しゃがれ声自慢?
いかにも、エイミー・ワインハウス以降らしい、というか綾戸智絵っぽい?しゃがれ声の若い女性ボーカルの1st。

しゃがれ声を張り上げるところでは、凄みを感じさせるものの、「メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ」とか、曲がブルース臭入ったバラードばかりのせいか、一本調子な印象。曲より歌を聴かせたい、という意図なのでしょうけれど…「メルト・マイ・ハート・トゥ・ストーン」なんか、ここまで歌声が大きいと、ストリングスとエレピ伴奏で、醸し出そうとした、70年代ソウル風の小じゃれ感は、台無し。

メロディのしっかりした「チェイシング・ペイヴメンツ」は、ポーティスヘッド(祝3rd発売!)から、ダブとかのハッタリを抜いて普通にしたような感じで、好感が持てましたけど。

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山田ユギ「ありえない二人」(バンブー・コミックス 麗人セレクション)

面白いですが、やはり、敷居が高い。

5話連作「ああ爆弾」を中心とした、BL短編集。

同作者の非BL作品、「おひっこし?」が面白かったので、本道のBLも読んでみることに。
冒頭の表題作は、鞄職人の職業話と思いきや、意外な(というか、唖然とするような)展開が興味を引きます。最後は、わだかまりが解けてめでたしめでたし、という(「おひっこし?」同様、読後感の)「いい話」に、纏まっていて、面白かったです。

BLならではのエロ描写は、ラスト2頁だけ。お話パートと独立して読めるようになっているのも、読み飛ばしやすくて、楽です。とはいえ、それまでの男の友情話が、いきなり、男同士の絡みに移行するところには、やはり、違和感があります。一方でも、元々男色家のキャラ、というなら、まだ、納得しやすいのですが、この話の場合、二人とも男色家ではない、という設定だったので、唐突感は強く。

他の作品、「ああ爆弾」は、水泳教師が主人公の、可愛い嫉妬のお話なのですが、こちらも、第4話ラストで「男はあなたがはじめて」(P.150)、という台詞に驚き。「純愛」っぽくしたい、という意図なのかもしれませんが。

BLに限らず、男性向けエロの場合でも、(読者に都合の良くするための、)人工的な設定は、多々あるわけですが…、やはり、純BLは敷居が高い、と思ってしまいました。

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SFマガジン2008年4月号「「ベストSF2007」上位作家特集」

酒井昭伸のエッセイ。<<氷と炎の歌>>の訳者締切が3月末なら、刊行は早そう?

伊藤計劃「From the Nothing,With Love.」☆1
脳科学ネタには、山本弘「七パーセントのテンムー」とかで、既視感が…と思ってしまいましたが、もう一捻りあったのと、スパイものっぽい文体のおかげで、読後感は良かったです。

円城塔「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」☆0
短い文章中の言葉を「銀河帝国」で置き換えた、というだけのネタ。「Self-Reference ENGINE」で、一番不快だった、「江戸」に単語を置換えた話と、同じですが、歌集的読み易さの分だけ、不快感は少なかったです。

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「出血がとまるまで押さえてください」☆0環境問題告発風寓話。骨組みだけに見えてしまうのは、分量が短いので、仕方がないところでしょうか。

連載 夢枕獏「小角の城」☆1
双方、余裕のある口調で、ギリギリの勝負、といった展開は、作者ならではの(九十九乱蔵ものとかに通じる)味です。

野尻抱介「南極点のピアピア動画(前編)」☆0
宇宙開発ものの部分は数十年後に見え、反面、電脳描写は今のことに見えてしまうのが、現代本格SFの難しいところかもしれません。

菅浩江「流浪の民」☆0
謎化粧の紹介だけで、話はこれから。冒頭と巻末の古代描写といい、本作だけでは意図不明です。

小説以外では、クリストファー・プリースト「戦争読書録」☆0
「双生児」の参考資料一覧と、その感想文。歴史物、特に戦記物は、資料集めは、きりがなさそう。感想文は、結構、酷評しているのが面白いです。

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青山テルマ「My dear friend」/今井美樹「ルパン三世 愛のテーマ」/清浦夏実「旅の途中」/ROCKY CHACK「リンゴ日和~The Wolf Whistling Song」/堀江由衣「えいえんの丘」

最近聴いたiTMSアニソン等

青山テルマ「My dear friend」
シングル「そばにいるね」のc/wで、アニメ「しおんの王」のエンディング。
アニメ本編は、解説者多めの勝負もの+過去の惨劇サスペンス+絶対領域萌え+女装少年萌え+面長&影多めのエロ劇画的絵柄(神園九段とか)のサブキャラ、という、ごった煮のまま、終盤まで、勢いが衰えず、楽しみにしている作品です。

エンディング曲は、和製ディーヴァものにありがちな、グループ感に乏しい歌い上げ曲ですが、イントロ兼サビをフレーズ連呼して盛り上がるところが、魅力です。アニメが「次週に続く!」となったところを引き継いで、曲のイントロが始まるので、曲の印象も強いです。
他2曲は男声入り。シングル表題曲は、Souljaのつぶやき男声と、抽象的過ぎる歌詞に付いていけませんでしたが、パーティ・ソングの「This Day」では、童子-T(不良系ラップのZingi「渋谷無宿」は、好きでした。)の和製ラップと、サビ担当の和製ディーヴァという、解りやすい組み合わせが、ベタながら、楽しいです。



今井美樹「ルパン三世 愛のテーマ」
ルパン3世第2シリーズのエンディング曲。
ピアノ伴奏(この曲では、作曲者の大野雄二)だけで、ジャズボーカル的に歌ったアルバム「I Love a Piano」の中の一曲。地味な伴奏と、女優歌で、眠くなりそうな雰囲気はあります。


清浦夏実「旅の途中」 アニメ「狼と香辛料」のOP。アニメ本編は、結局、最後は、サブキャラの能力や商会の組織力で問題を解決、というギャルゲー原作ものっぽい主人公なのが、今一なのですが…。RPG風中世舞台の雰囲気ものとして視聴継続中の一作です。

清浦夏実の歌は、「スケッチブック」のOP「風さがし」の時は、木訥フォークって感じでしたが、本作では、かなり、変化しています。音数の多いアコースティック伴奏に、北国風な節回しの歌ですが、終盤、「ライラ♪」歌い上げ(男声コーラスは、作曲の吉良"ザバダック"知彦?)+乱打するドラムで、壮大に盛り上がる曲です。


ROCKY CHACK「リンゴ日和~The Wolf Whistling Song」
同じく、アニメ「狼と香辛料」の、こちらはED。
ピアノやバイオリンを、ちゃかちゃかと鳴らした伴奏で、XTC~中期ビートルズっぽい節回しのポップな曲。浮遊感ある女性ボーカルは健在ながら、「リトルグッバイ」のテクノ風伴奏からは、全然違うスタイルなのに驚き。電脳世界舞台のアニメ「ゼーガペイン」と違い、RPG風中世舞台のアニメってことで、変えてきたんでしょうけれど、打ち込み音源を前提に音を作る人にとっては、音色は取替可能な部品なのかな、と思えてきて、少し寂しいです。


堀江由衣「えいえんの丘」
iTMSに、もう最新作「Darling」まで、入っているのに驚きつつ(「黒薔薇保存会」の新曲も、入れて欲しいなぁ。フィギュアも携帯も縁が無いので。そのうちでいいから。)、アルバム未収だった、シングル「恋する天気図」のc/w曲を補完。

「えいえんの丘」は、ハーモニカや眠そうなギター伴奏に、歌も、のんびりした感じの優しい曲。ちょっと、ドゥービー・ブラザース「South Side Midnight Lady」のユルさを連想しました。

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田村ゆかり「十六夜の月、カナリアの恋。」

「上弦の月」、「お気に召すまま」が良。
6thフルアルバム。

レーベル移籍後第1作ながら、作曲家陣が変わらないせいか、いつもの感じ。

前作の「Black cherry」同様、ジャズ風味の「Swing Heart」もありますし、バラエティに富んでいるの前作同様。ピアノ伴奏の優しいバラード「上弦の月」は、コナミ時代のベスト盤収録曲「Yours Ever」や、「恋のチカラ」路線で、今回も良い感じ。

(レコーディングと重なった時期で、やさぐれっぷりが面白い頃の)ラジオ「いたずら黒うさぎ」では、「1200円のお弁当食べたら、生楽器が1個減る」なんて、泣けるコメントをしていて、打ち込み然としたエレポ曲は、エレクトロニカ風の冒頭が風変わりな「Non-Stopping Train」ぐらいなのが、変化かも(生演奏曲ばかり、でもないですが。)

面白かったのは、ダサい吹きまくりサックス伴奏に、(田村ゆかりにしては)色っぽい甘い声の「お気に召すまま」や、巻き舌ロック風の発声に、ロック・バンドの派手なキーボード風伴奏の「Happy Life」といった縦ノリ曲。どこか、80年代的ゴージャスさが、楽しいです。

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ジョン・スラデック「蒸気駆動の少年」(河出書房新社 奇想コレクション)

「不安検出書(B式)」の存在感

短編集。

ナンセンスと詭弁だけの普通小説は、往事の筒井康隆小説から文体を脱色して、意味だけを眺めているような感じで、(ギャグとして)面白いって訳ではなく。読了しても、何か読み飛ばしていて、作品の意図をつかめていないのでは?という気になり、読み返すのですが、それでもさっぱり解らない訳で。結果、非常に不安になる読後感でした。

反面、そこに、ジャンル作品的に解りやすいストーリーが加わって、詭弁にストーリー上の意味を受け取り易い、名探偵ミステリー(「見えざる手によって」)や、SF(「月の消失に関する説明」)は、安心して読むことができました。

ナンセンス・詭弁路線以外では、飄々としたほら話「教育用書籍の渡りに関する報告書」や、今となっては、実際のカウンセリングねた、っぽく見えてしまう「不安検出書(B式)」は、既読の作品でしたが、別格の存在感がありました。

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