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吉村 萬壱「バースト・ゾーン-爆裂地区-」(ハヤカワ文庫SF)

エログロ日本文学。

3部構成で、第1部はディストピアもの、第2部以降はロードムービー的な話。背景には軍が支配する国家があるのですが、組織・社会の描写は無く、SF的な設定説明も、殆どありません。閉塞した状況下での個々人の描写に終始していて、不条理小説っぽいといいますか、象徴性の高いノリ。

エロ・グロ描写は多いものの、スプラッタやポルノのように、それ自体の楽しさはなく、田中啓文「罪火大戦ジャン・ゴーレ」のような、描写の極端さを笑うギャグでもなく。エロ・グロ描写は、閉塞感の中、自暴自棄になった個々人の象徴として、機能しています。

象徴臭さが鼻につき、お話としては楽しめませんでした。

ただ、終盤の巨大化とか、閉塞感の描写自体には、「同時代ゲーム」を連想させるような、土俗を賛美する陰鬱日本文学っぽい圧迫感がありました。

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新谷良子「CrossingDays」

現状(8話まで)のような、美少女との緻密な日常描写を楽しみに見つつ、終盤になると、この楽しさは無くなってしまいそうな予感に怯えている)アニメ「紅」。そのエンディングテーマです。

新谷良子の曲を聴くのは、Galaxy Angelがらみの曲以来です(人間ぽい歌い方になった気が。)

「ラジオ・スターの悲劇」を連想させるシンセのイントロといい、高速のエレ・ポに、早口言葉のような詞に、ギターが絡むつくりといい、これぞ、アキバ系と言う印象の曲です。美少女との幸せな空間を彩るB.G.Mとしては、最適。

C/W「手のひらの太陽」も、シンセがキラキラ系の曲ですが、表題曲と比べるとバンド色が強く、エンディングっぽい緩やかさです。

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凛として時雨「Telecastic Fake Show」

iTunesMusicStoreで、シングル表題曲一曲買い。

男女ツインボーカルの、けたたましいロック。ボーカル2人とも、悲鳴っぽい歌い方で、テンションが常に高いのが、印象的です。
伴奏も、かき鳴らし系ながら、ブレイクの入り方など、やたら構築的なつくりで、ちょっと、(マーズ・ヴォルタを連想する感じで、格好良いです。

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ジェイソン・ムラーズ「アイム・ユアーズ」

iTunesMusicStoreで一曲買い。

暖かいエレピの伴奏が似合う、ノンビリとした、男声フォーク。後半、歌い方がボブ・マーレーっぽくなったのは、意外性があって、飽きずに聴くことが出来ました。

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伊坂幸太郎「死神の精度」(文春文庫)

「旅路を死神」は、「いい話」臭が消えていて良し

「死神」が出てくる、ちょっといい話系の短編連作。

「死」の扱いの安直さ、表題作女性内面描写の平板さ、作中時間不連続トリックで纏めるあたりは、以前の印象と変わらずで、残念。こういうジャンルと、思って読むより仕方がないのかも。
本作中では、ロードムービーもの「旅路を死神」が、厨房的痛々しさ丸出しのチンピラキャラ、森岡のおかげで、やや、「いい話」臭が消えていたのが、良かったです。

内面のない美形主人公は、映画版キャスト&本作表紙の金城武に対する、わたしのイメージに近くて、チンピラに引っ張り回される情けないキャラが、浮かびやすかった、という事情もありますが。

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ひろやまひろし「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」(角川コミックス・エース)

「なのは」っぽい熱さ

Fate/StayNightのキャラクターを使った魔法少女もの。

「キャラクターマテリアル」での原作TypeMoon自身によるスピンオフ設定を一部使っていることと、Fate自体が(多くの引用を含む)2次創作性の強い作品なこともあってか、2次創作/スピン・オフにも不自然さは無く。第1話ラストで、Fate冒頭のシーンを再現するのも嬉しい小ネタ。

内容は、というと、雰囲気はコミカルながら、快活少女と根暗少女とが、バトルを通じて理解り合っていく、「魔法少女リリカルなのは」的展開が、何とも心地良いです。

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Volta Masters「Volta Masters At Work」

有名曲のネタだけが目立つ

ファーサイドの2nd収録曲「Drop」から、グルーブ感を抜いたような「1773 / Constant Motion(ReEdit) Remix」など、UKものっぽい、グループ感弱めのヒップホップ。

ピアノのフレーズを多用した聴きやすい曲が多いのですが、「おおぞらをとぶ」ドラゴンクエスト3のラーミア飛行中に流れる曲)のフレーズをバックにした「Thoery Hazit / Dicisions - Extended Remix」や、「カノン」ネタの「Precise Hero / Words For(now you know) Remix」で、記名性の有るメロディを加工せずにそのまま流すので、ネタ感ばかり強く感じました。ヒップホップとして、ネタに比するグルーブ感が有れば、話も違うのでしょうが…今一。

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ワイルドストロベリー「アニメロディナイト」

声種の違う2人でバランス良

井上喜久子を中心としたグループの、アコースティックな伴奏のアニソン・カバー集(iTunesMusicStoreでは、何故か、井上喜久子名義ですが。)

最近、岡崎律子のコーラスと、明るく弾んだ曲調が印象的な、井上喜久子「どうぞよろしくね」を聴き返したこともあり、購入。

アニソン・カバーものにありがちな、ボサノバ、スロー・バラード中心ですが、サンバ・ホイッスル入りで元気な「バビル2世」なんかもあって、単調さはなく。井上喜久子の甘い(ママさんコーラス的)声だけでなく、まるたまりのドスの効いたジャズ・ボーカル(「ロマンティックあげるよ」は圧巻)もバランス良く出てくるおかげで、飽きずに聴けました。

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犬村小六「とある飛空士への追憶」(ガガガ文庫)

段取り感が…

飛行機乗りを主人公にした、映画「ボディガード」風のお話。

身分違いの恋描写をするために、異世界社会を説明したりするので全体に尺不足な印象を受けるのと、直前に伏線的な説明をする場面が多いせいか、(イイお話の、)段取りをこなした感が出ているのが残念なところ。ただ、スケールの大きさを感じさせる後日談エンドは好み。

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一色銀河「そらいろな」(電撃文庫)

野球蘊蓄

「甲子園の空に笑え!」「大きく振りかぶって」を連想する、女性監督の口八丁(駒大苫小牧の練習法が…とかいう蘊蓄)で勝っていく、高校野球話(監督がメイド服なのが、ラノベ風。)

主人公の投手が挫折から立ち直るという、いい話で締めているので、読後感が良いです。巻数表記が無いけど…続きはセールス次第?

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ポーティスヘッド 「サード」

ベスの声と重苦しく無機質な伴奏で、期待通り。

待望のの3rdアルバム。

ハンマー・ビートというのでしょうか、列車が走る音のような単調なビートが強調されているのが、特徴的で、過去作のようなダブ色が減って、効果音的に前衛音楽っぽいシンセが加わっていることもあり、極めて無機質な伴奏のアルバムです。

ただ、ポーティスヘッドの場合、ベス・ギボンズの不安定な声が紡ぐメロディが中心にあって、それを取り囲む伴奏は、重苦しく無機質で有る程、不安が引き立って良いので、本作の味付けも問題無く、期待通りといったところ。トリッキーマッシブ・アタックといった、グルーブ感を強調したクラブ音楽寄りの所謂トリップ・ホップ勢は苦手でも、彼らだけは聴けるのは、この(ある種プログレ的な)メロディ重視構造の音楽だからかと。

本作中では、重いギターカッティングが格好良い「ウィ・キャリー・オン」や、終盤では、ベスらしい悲鳴も聴ける「スレッズ」、メロディが印象に残る「マジック・ドアーズ」を、特に気に入っています。

iTunesMusicStoreで見つけて、反射的に買ってしまったけれど、限定盤どうしようかなぁ…

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SFマガジン2008年6月号「アーサー・C・クラーク追悼特集I」

ダイビング目的で、スリランカならぬインドネシアに移住した友成純一「人間廃業宣言特別編」☆2が、一番面白い追悼文かも。

スティーブン・バクスター「時のこどもたち」☆0
文明崩壊後を子供モチーフに淡々と。スケールは大きいけれど、同じ話の繰り返しに見えて、イメージ広がらず。

樺山三英「愛の新世界」☆0
連作2つ目。の続き。改行無く、ストーリーもない描写の塊は、読みにくい分だけ、雰囲気はあります。

連載 夢枕獏「小角の城」☆0
勝負は肩すかし、日常は途中で、連載休止なのは、残念です。

連載 山田正紀「イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ」☆0
比喩にダイナモが出てくると、山田正紀っぽさが強まります。

小説以外では、アーサー・C・クラーククラーク・エッセイ・セレクション☆1
3本立て。中では、飛行機もの「貴機は着陸降下進路に乗っている、と思う」が、黎明期の話ならではの楽しさに溢れていて、良いです。

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YOUR SONG IS GOOD「THE ReACTION E.P.」

楽しそうな、LiveDVD

シングル。なんといっても、初回限定盤に付属するLiveDVD(7曲入りとは太っ腹)での、相変わらず楽しそうな演奏振りが、素晴らしい。1曲目から客席へダイブするサイトウジュン(オルガン)や、スガシカオ的優男化したシライシコウジ(ギター)が格好良いです。

音源はというと、表題曲はシングルということもあり、Fruity程ではないもののスカ・コア的攻撃性の強い曲。友達の家で、一緒に音楽を聴いている、っていうシチュエーションの歌詞が面白いです。曲としては、c/w「10 INCH STOMP」での、彼ららしいファンキーなインストが好みです。

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伊坂幸太郎/山下敦弘「実験4号」(講談社BOOK倶楽部)

いい話ですが、Theピーズ好きには、ちょっと不幸

SF小説+DVD。DVD→本の順に読みましたが、小説は、DVDエピソードを部外者が外から見る構造になっているので、この順で正解かな。

帯によると、Theピーズ「実験4号」に捧げるとのことですが、むしろ、アビさん脱退、バンド休止時の顛末自体をモチーフにしたつくり。メンバー名を登場人物の子供の名前にする設定の同人臭さに苦笑しつつ、読/視聴。

山下敦弘監督の「it's a small world」は、30分位の自主映画っぽい感じ。同監督の「天然コケッコー」同様、少人数学校の卒業式を題材にした、いい話ながら、「子供らしい」小学生の描写が、気持ち悪く、苦手な雰囲気の作品でした。ただ、(子供と対比される「大人」を煙草で表現する記号性に、鼻白むものの)竹下玲奈演じる、怠そうな女教師シマ子は、モデル上がりの人らしく、綺麗に撮れています。

伊坂幸太郎「後藤を待ちながら」は、久し振りに読んだ、伊坂作品(また、読もうかな)。

ハルの「Rockin'on Japan」誌掲載のインタビューでの名言を引用した、挫折からの復活話。実話でいい話化という、卑怯なつくりの作品ですが、(キャラ名が、「春」だったことを思い出す)「重力ピエロ」の作者らしい、癒し系いい話として、綺麗に纏まっています。

勿論、アビさんのロックン・ロール・ギターをはじめとする、Theピーズの、癒し系に留まらない部分は、綺麗に脱臭されてしまっていますけど、「実験4号」のようなロマンチックな曲も、Theピーズの素晴らしい一面であるわけで…とか、うだうだと、思ってしまうのが、不幸。

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劇場版仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事(デカ)

ファンサービス

TV版の「電王」は、一本気なモモタロスや、愛すべき間抜けなデネブ、といったキャラが魅力的なこともあり、「剣」以来、久しぶりに最終回まで見続けた仮面ライダーでした(今放送中の「キバ」は、第2話で既に脱落しています)。終盤、設定の辻褄合わせをほっぽり出して、各キャラクターとのお別れエピソードを延々と続けたノリには、やや、呆れつつも、嬉しくもあったので、劇場版も見ることに。

今回の劇場版は、(デカレンジャー的)刑事物パロディで、後半はバトルロイヤル的なシーンが延々続き、一本の作品としては纏まり無い造りです。ただ、TV版では無かった組み合わせのキャラクター憑依など、キャラクターの性格を面白がっていたファン層へのサービスが厚いのは、良いです。

2008.04.27新宿バルト9にて鑑賞。

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