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スティーヴ・ウィンウッド「ナイン・ライヴズ」

「アザーショア」等のゆったりしたバラードが良い。

「About Time」以来だから、約5年ぶりの新作。

1つの音を伸ばしまくるキーボードのフレーズは、いつものウィンウッド節。ですが、全体としては、パーカッションと、歪ませずにうねるギターを中心に、アコースティックなゆったり目のファンクに纏められていて、アレステッド・ディヴェロップメント的な聴きやすさがあります。伴奏が聴きやすいせいか、ウィンウッドのソウルフルながらクリアな歌声が、押しつけがましく無く、すっと入ってくるのも良いです。

特に、「フライ」「アザーショア」等のゆったりしたバラードでは、80年代の名曲「バック・イン・ザ・ハイライフ・アゲイン」を連想させる、ゆったり感が気に入っています。

「ダーティ・シティ」での、いかにもブルース・ロック、といった泣きのギターは、ちょっとダサイ気もしますけれど、「クラプトン参加!」という話題作り的には、極端な味付けも有り、でしょうし。

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マルセラ他「MILK BOSSA loves AOR」

ユルく、甘い

80年代初め頃の洋楽のボサノバ風カバー集。

Take6版カバーも好きだった、裏声の名曲「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」をやっていたので、思わずiTMS購入。

当初、ネタ的な洋楽ボサノバ風カバーものって、ローリング・ストーンズとか、P.I.Lとかのウルサイ曲をユルくアレンジする意外性、こそが味だった筈ですが…

本作は、「ウィ・アー・オール・アローン」「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」「素直になれなくて」といった(AORという呼び名のほうが懐かしい)80年代初期の緩いバラード集を、緩いエレピ伴奏で、ユルくボサノバ風カバーしている、緩さで、ひたすらユルい企画です。

中でも、甘い声のマルセラが歌う「クリスタルの恋人たち」は、ふわふわの女性コーラスまで追加されて、劇甘の出来。ここまで甘いと、アイドル声優を聴く耳で聴けますし、嫌いじゃないですが。

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絲山秋子「逃亡くそたわけ」(講談社文庫)

ロード・ムービー風中編なら、このクササも有り

Theピーズの歌詞引用がある小説ということは知っていたものの、歌詞を、それもTheピーズの歌詞の引用となれば、作者の思い入れが痛々しくなりそうで、敬遠していたのですが。同趣向のTheピーズの歌詞引用もの「実験4号」も読んでしまった以上、敬遠する理由もなくなり、購入。

九州弁のヒロインと、名古屋に愛憎入り交じった感情を持つ屈折インテリ男とのロード・ムービー型、オチ無し話です。気楽な泥棒旅行を続けている内に躁鬱病が治るラストは、安直過ぎて、癒し臭が出ていますが、ロード・ムービーを見終わったときのような、妙な達成感(何もしてないくせに!)が有るのも確かです。

ロード・ムービーもの欠点である象徴臭を、躁鬱病の薬ネタ、地方ネタ、そして、歌詞引用で、解消しているのが、本作の特徴です。

「方言」という(言葉に肉体性を与える)飛び道具で、登場人物の抑圧を具体化したり、気がふれ日が暮れても彼女と歩いていた」の歌詞に共感(155頁)していることで、病を対象化しようとする意志を表現とか、っていうのは、ちょっとクサイ気もしますが、文庫で200頁に満たない分量(一人称小説で読みやすいこともあり、1時間程度で読了)の中編小説の場合、これ位の解りやすさが、良いバランスなのかもしれません。

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NOMO「Ghost Rock」

ノイジーな親指ピアノ
アフロ・ビート系バンドの2枚目。

前作も、アフロ・ビートっぽく無かったですが、本作はさらに、アフロ・ビートっぽさの源であるホーンは、さらに後ろに下がってしまい、硬質のジャズ・ファンク、といった風になっています。

アフロ・ビートを離れて聴くと、鋭角的なシンセ(タブラみたいでもあるので、こういう音を出す楽器が有るのかも)の鋭角的なフレーズが印象的な、1曲目の「Brainwave」や、「太陽と戦慄」期のキング・クリムゾン風トーキング・ドラムが入った「Three Shades」といった、効果音的な変わった楽器+ファンクの構造が聴きやすく、ファンクの格好良さが、ストレートに伝わってきます。

特に、コノノNo.1っぽい、電気増幅された親指ピアノを彩りとして使った「All Stars」「Rings」といった曲は、コノノNo.1の縦ノリ一辺倒ぶりは、ちょっと単調に過ぎると、敬遠しているわたしには、ちょうど良い塩梅。


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「Ultimate Ears Triple.fi 10 PRO」

音量が出せれば、解像度は素晴らしい
カナル式のイヤホン。

イヤホンはずっと、破壊的な低音量のSpark Plugに、さらに音圧が強まるネット販売されている真鍮管AU1を装着して使っており、脳を殴るような低音の気持ち良さには、満足していたのですが。

iPODで聴いてると、iTUNESで聴くときに較べ、表現力が足りない気がしていたので、何とかならないか、と思い(シャッフル機能で、存在すら忘れていた曲を聴き直せることと、iTUNESで1曲買い出来る利便さがあるので、iPODiTUNESを止めるという選択肢は、今のところ無いのです)、高いものに手を出してみました。

御用達のロック・ミュージシャン名を連発するULTIMATE EARS社の宣伝文句「高い価格なりのことはある」という2chカナル型イヤホンスレの評(に権威に弱い自分が釣られた、というの)と、壊れやすいピンプラグ部を交換できるところを気に入って、購入してみました。通販は少々怖いですが、ヨドバシカメラより1万円近く安いとなると、Amazonを選んでしまいます。

購入後1月程度、主に、通勤時に使ってみての感想です。

左右を確かめて、耳たぶに引っかける装着法は、慣れつつあるものの、眼鏡者には、やはり難しいです。未だに、いっぺん眼鏡を外してから装着して、眼鏡をかけ直すことも度々あります。装着中の装着性も、イヤーチップに最小のものを使っていても、1時間を超えると耳が痛くなりますし、これまで使っていたSparkPlugER-6iより、装着感は劣ります。

音については、確かに、解像度は素晴らしいです。背景音的な細かい音が埋もれないということもありますが、ベースの残響音が、単なる減衰では無く、「ドロ~ン」と聞こえるところなんかは、さすがの表現力です。ただ、細かい音を聞くためには、ある程度音量が必要なのも確かなので、電車内では、音漏れがかなり不安ではあります。

しばらくは、使い続けてみますが…Theピーズ「3連休」の重いギターとか、低音が強化されたSparkPlugで聴く方が、格好良く聞こえる曲もあったり。

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ジェフ・ライマン「エア」 (プラチナ・ファンタジイ)

我の強い主人公と強引な展開には、最後までついていけず

2020年、カザフスタン近くの辺境の村に、インターネットがやってくる、という近未来SF。

作中のインターネット「エア」は、対話型インターフェイス描写があいまいなこともあって、あまり架空設定っぽくは無く。作者は、マンデーンSF~「作品執筆時の最新の科学およびテクノロジーからみて、ありそうもないことをオミットした、地に足のついた『あたりまえのSF』」(解説、473頁)~を提唱している人、とのことなので、本作でのガジェットの地味さも納得、といったところです(「マンデーンSF」というサブジャンル用語については、SFからガジェット的な面白みが無くなる危惧もあるとはいえ、「ナノマシン」の一言で何でも済ます、今どきのSFに対してのカウンターになるなら、意義はあるのかも。まぁ、いつものように、あざといキャッチフレーズとしてだけ機能して、終わりそうな気もしますが。)

本作自体は、インターネットの受け容れ方を巡る村人内の対立や、民族衣装の通販サイト立ち上げの苦労といった、ノンフィクション的な題材を通じて、我の強い主人公が成功していく話が、地味に続きます。

地味な中盤までとは一転して始まる、洪水を予言する、終盤の展開は、かなり唐突です。さすがに、主人公が奇跡を起こす神話を、薄っぺらく描きたい訳ではないと思うので、全ては電脳世界の出来事だから可能だったという、オチなのかなぁ?成功話は、その伏線、っていうことで。

ただ、そう見ても、我の強い主人公と強引な展開には、最後までついていけませんでした。

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「マクロスF (フロンティア) O.S.T.1 娘フロ。」

May’nの最初の3曲の高揚感が素晴らしい

アニメ「マクロスF (フロンティア) 」のサントラ。

本編は、お話自体は安直な気がしつつも、目まぐるしく動く美麗CGと、高音女性ボーカル曲をB.G.M.に敵を倒す、シューティングゲーム的高揚感に溢れる展開につられて、見終わった瞬間は面白かったような気がしてしまう、未だ、評価に困る作品です。

サントラに収録された、高音女性ボーカル曲を目当てに購入。

ヒロインその一、シェリル・ノームの歌を担当する、May’nの最初の3曲の高揚感が、素晴らしいです。

ドラムロールの大盤振る舞いで、「ヒーロー(朝倉未稀)」っぽい大仰さの、「Welcome To My FanClub's Night!」から、80年代風シンセの音が分厚い「What 'bout my star?」、マクロス的には「0-G LOVE」的スピード感に溢れた「射手座☆午後九時Don't be late」までの3曲は、派手に盛り上がります。(かつてF.E.N.であったような)観客歓声を合成した偽ライブバージョンになっているのも一興です。

ヒロインその二、中島愛の曲は、(現時点ではシェリルに比べるとキャラの弱い)新人アイドル役ということもあり、素朴なシンセ伴奏のポップ「ニンジーン Loves you yeah ! 」など、可愛らしい曲が中心です。同じ、「What 'bout my star?」も、こちらは対比的に、ロッカ・バラード風の落ち着いた味付けになっています。

ヒロインの歌に加え、坂本真綾「プラチナ」の高揚感に、下世話さを加えたような、オープニングらしさ全開の名曲「トライアングラー」まで、収録してくれていて、何ともお買い得感に溢れているCDでした。

あとは、アニメ本編が失速しないと良いなぁ…

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トニー・アレン「ラゴス・シェイク~トニー・アレン・チョップ・チョップ」

アフロ・ビート色は薄

CCCDだったため、未購入だった2006年作「Lagos No Shaking」のリミックス。

縦ノリハウス音で埋め尽くされた「フジ・ウィジャ」や、今時ヒップホップ風のつんのめったリズムの「テツヤのテーマ」など、別種のリズムを上にかぶせるようなリミックスが多く、アフロ・ビート色は薄く、トニー・アレンならではの手数の多いドラムの面白さが台無しなのが、悲しいです。「サンコファ」とかになると、ドラム以外のパートは、ホーンで哀愁のメロディを聴かせる曲の中、リズム指向のドラムだけが完全に浮いていて、無理がありすぎです。

本作中では、淡々としたアンビエント・テクノに、トニーのリズムが、パーカッション的な効果音として、使われる「オレ(リミックス)」が、好きなタイプですが、やはり、トニー・アレンを効果音として使うのは、勿体なさ過ぎます。

テクノ方面の人と組んだ作品としては、ドクター・Lとやった「サイコ・オン・ダ・バス」の方が、トニー・アレンらしいドラムが沢山聴けた分、好みです。

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キャロル・キング「タペストリーライブ」

悪い意味で予想通り

代表作「つづれおり」再発のボーナス・ディスク。

ジャケット表記は、「PianoVoice Versions」ということで、ピアノ弾き語りですが、近作近作のライブである、「リヴィング・ルーム」も、発表当時のライブ「The Carnegie Hall Concert -June 18 1971」も実質弾き語りだから、目新しさは無く。作曲家であって、歌唱力云々の人じゃないので、ライブならではのマジックも無く。

勿論、名曲群ではありますから、音源が聴けるのは嬉しいですが、それ以上のものではなく、悪い意味で予想通りの作品でした。

買い直した「つづれおり」自体も、元々、AMラジオのような籠もった音質なので…再発で音が良くなっているとかいう訳もなく。正直、先に手を出すべきは、未聴の80年代の世界初CD化作のほうだったかな。

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Theピーズ「ONE MAN LIVE 2008」/シングル「3連ノリタね」

「また、来年」

(冠付けてはいないものの)21周年記念ライブながら、いつもの調子。「また、来年」という捨て台詞が素敵です。

ファミリー層や贅沢したい女性たちが集う赤坂サカスの中に、会場の赤坂BLITZはあります。改築したばかりの綺麗なライブハウスで、Theピーズのヤサグレタ雰囲気とは、ちょっとミスマッチかも。まぁ、屋根付きの会場ですと、雨対策が不要なので、楽ではあります。

改築故でしょうか、以前、ライブハウスで、Theピーズを観た時の籠もった音とは、段違いのクリアな音響が素晴らしかったです。Theピーズ自体は、いつも通り(やけっぱちな歌声と荒々しいギターのロックで、曲はポップ。MCはグダグタ。)ですが、音が良いせいか、ギター・カッティングが格好良い「リトルボウズ」、レゲエ調のギターは珍しい?新曲「(冬ソナ、春ワル)初夏のレゲエ」辺りが、特に印象に残りました。

会場限定発売のシングル「3連ノリタね」は、短い曲ながら3曲入り。ライブではハードな印象だった「3連休」が音源で聴くと、美メロ曲といいますか、つい、「3連休♪~」と緩く口ずさんでしまいます。「でい~ね」も、「電車でお出かけ」あたりを連想する、軽快なポップ。

2008.06.08 赤坂BLITZにて鑑賞。

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DVD「堀江由衣 クリスマスライブ*由衣がサンタに着がえたら*」

前作の問題点を解消した、Darling-Live。
昨年12月のライブDVD。

前作「堀江由衣をめぐる冒険」同様、童話風の寸劇仕立てなのですが、ボイス・チェンジャーの使用など、素人スタッフの痛々しさを隠す配慮がなされていて、格段に見やすくなっています。寸劇仕立てのため、セット全景を映すことが多く、アップの画像が少ないのは、「堀江由衣」の場合、勿体ない気もしますけれど、サンタ群舞が印象的な、「ラブリエブリデイ」等では、曲と相まって、華やかな盛り上がりです。

その、「ラブリ…」の他にも、「ずっと」「ヒカリ」「恋する天気図」「Time Machine」「Days」「かみさまおねがい」と、傑作だった、新作「Darling」の曲が多く、Darling-Live状態なのが、嬉しいです。

DVD用新曲CDの「Happy Snow」は、ちょっとSUEMITSU & THE SUEMITH風の高揚感溢れるピアノ曲です。

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Seun Kuti&FELA's EGYPT80「Many Things」

荒々しい声のアフロビート

フェラ・クティの息子Seunと、フェラの後期バックバンドEGYPT80による作品。

「Fela Lives」のタトゥーを背負った歌詞カードの写真からも明白な、フェラ・クティの作法に忠実なアフロビート(ちょっと、ビートの重みに欠ける気も)。

Seunの歌声は、フェラ以上に荒々しいダミ声で、兄フェミ・クティの(ワールド・ミュージック的)しなやかな歌とは、正反対といった感じです。テンポの速い曲mosquito songでは、歌声の激しさが、勢いに繋がっています。

ラストの「African Problems」は、ホーン中心のメロディアスな曲で、JAGATARA「都市生活者の夜」を連想。

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石野真子「シングル・ヒット・メドレー1」

アイドル

iTMS入りしていた 「さよなら公演 完全収録ライブ」より、1曲買い。(聴くのは「デカレンジャー」以来。)
「狼なんか怖くない」「わたしの首領」「失恋記念日」「日曜日はストレンジャー」のメドレーですが、良く伸びる高音、キャッチコピー的な歌詞、古風な女性コーラス、と歌謡曲っぽさが満喫できました。

ライブならではの、観客からのコール(「L.O.V.E.M.A.K.O」か?音が籠もって聞き取れず。)の音量が大きいのも、アイドルの音源ならでは。

最後が、PPPHっぽい、掛け声の中、フェード・アウトしていくのも、また。

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SFマガジン2008年7月号「アーサー・C・クラーク追悼特集II」

新訳と言われましても…

アーサー・C・クラーク「太陽系最後の日」/「星」/「太陽からの風」
既訳作品の改訳(とはいえ、訳で変わる作風でもない気が)。描き出される「風景」の斬新さがクラークの魅力と思うので、再読の懐かしさはプラスにならず。今の作品としては、☆1:0:2

野尻抱介「黎明期の出会いII」☆0
「2001年宇宙の旅」はパロられ尽くされているから、普通のキャラクターでは笑えず。

小川一水「青い星まで飛んでいけ」☆1
壮大なスケールのコミュニケーションもの。分量故に、段取り的なのが残念。

連載 朝松健「魔境」☆1
過去改変の争いが具体的で、イメージしやすく。

連載 神林長平「アンブロークンアロー」☆1
不条理小説でも、登場人物が客観的なので読みやすい。

連載 山本弘「地球移動作戦」☆0
女性型AIとの会話で、背景説明設定。お話はこれから。

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