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映画「ダークナイト」

「ダークナイト・リターンズ」的なものを期待しなければ…

バットマン映画。

前作(未見)が「イヤーワン」的内容らしいというのと、本作タイトルだけで、フランク・ミラーの傑作「ダークナイト・リターンズ」的男のやせ我慢ドラマを期待したのが愚かでした。冒頭で、「バットマンの息子たち」っぽい偽バットマンが出るのは嬉しかったですが、「…リターンズ」っぽいのはそれぐらい。

話は、ジョーカーの手の上で踊らされ続けるバットマン&警察側というもの。ジョーカーは、非常に強そうに描かれていますが、悪の天才というよりは、周りが馬鹿すぎといった感じ(時限爆弾が好きなジョーカーに、携帯電話渡すのは頭が悪すぎますし、寝取られキャラで見せ場の無いトゥーフェイスは完全に道化ですし…)で、作者に愛されたキャラの強さを観ているようで、凄みは感じられませんでした。

対するバットマン側の戦闘は、スピーディでもなければ、美しくもなく。バットマンの作戦がうまく運んだのは、金にあかせて中国人を誘拐するところだけという情けなさで、物語上の鬱屈を溜めるパートに堕しています。結果、バットマンがドタバタしても、うまくいかず、苦悩する素顔(ブルース・ウェイン)というシーンが延々と続くのですが、素顔役のクリスチャン・ベールが、無表情系(リベリオンの時も、ガンカタ設定以外は、棒立ち演技の人だった気が…)なので、苦悩は、伝わってきませんでした。

終盤、伏線ゼロの唐突さ(それまでの苦悩とも無縁な感じ)で、警察側の裏切りや、民衆の善意賛歌が描かれますが、唐突すぎて、驚きより、不思議な印象を受けるくらいで、ドラマ性は薄かったです。民衆が支えるヒーローという「スパイダーマン2」系9/11以降の国威高揚映画な図式は、今風ってことなのもしれませんが、「バットマン」という「個」で無くても成立する話になってしまっていて、見ていて、辛かったです。

メロディ無く、打楽器の連打で、テンションを上げるだけの音楽は、やっぱり、ハンス・ジマー。ドラマ性の薄い、この映画に良く合っていました。

8/3 ワーナーマイカル新百合ヶ丘にて鑑賞。

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