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石黒達昌「冬至草」(ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

医療物っぽい泣かせ、告発の大仰さはなく
2006年刊の短編集。医者というより、医学研究者を主人公とした小説。

ノンフィクション仕立ての「この世の終わりは一体どのような形になるのだろうか」を読んで以来、気になっていたので。

作者の本業がらみとはいえ、死と結びつけやすい「癌」話は、小説の題材としては美味しすぎて、少々ズルい気もしますが、医療物にありがちな泣かせ、告発の大仰さはなく、一つの物語として成立しているのが良かったです(直近に読んだのが、記号的過ぎる「チーム・バチスタの栄光」だから、というのもあります)。

実験偽装ネタを奇譚っぽく纏めた「アブサルティに関する評伝」「デ・ムーア事件」が、話の明快性で、特に面白く。「目をとじるまでの短い間」も、主人公の鬱屈を淡々と描いているので、安直な泣かせ物に堕していません。

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久世番子「私の血はインクでできているのよ」(ワイドKC)

オタ臭薄めの子供時代ネタ
漫画家半生記。

「暴れん坊本屋さん」や、「番線」の作者らしい自虐ネタが楽しく。初完売同人誌だったという、名鉄駅員本が、面白そうに見えるところは、素晴らしいです。

ただ、BLなどのダークな面はなく、子供時代のエッセイマンガとして手堅く纏めたっぽい所もあって、少々、もったいない気も。新書館のようなマニア向けではなく、女性誌「Kiss」掲載作だから?と思ったり。

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SFマガジン編集部「SFが読みたい! 2009年版―発表!ベストSF2008国内篇・海外篇 (2008)」(早川書房)

今年の表紙は、毒も無く、空気読んだ感じ
年間ベスト小冊子。

海外1位2位6位7位8位9位11位13位15位16位、国内1位4位、の感想文を読み返してみると、ネガティブ大会なので、わたしにはあまり楽しめなかったですが。

海外19位、改訳・再刊ものが平然とランキング入りするのにも慣れつつ、国内17位「人類は衰退しました3」は、劇場版スタートレックネタが楽しかったなぁ、等と回顧。

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ジミー・スミス「クリスマス 64」

グルーヴ感が強く
タイトル通り、1964年作のクリスマス・アルバム。

ジミー・スミスのオルガンは、ジャズ云々は別として、偶に無性に聴きたくなるので、衝動買いに便利なiTunesMusicStore買いで。

「ジングル・ベル」「ホワイト・クリスマス」「きよしこの夜」といった、綺麗なメロディの定番曲ながら、ブルースっぽいスタイルの演奏なので、グルーヴ感が強く出ていて、綺麗なだけのクリスマス曲集に堕していないのは、流石です。

中でも、「サンタが町にやってくる」での、酔っぱらいがヨタヨタと歩くような不安定さの早弾きフレーズが、特徴的で、耳に残りました。


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トーキング・ヘッズ「リメイン・イン・ライト [SHM-CD]」

未発表インストが良。

1980年作。アフロ・ビート引用の先駆的作品を、未発表曲(「未完成アウトテイク」)追加&SHM-CD高音質化&紙ジャケットで、再発。タイトルに惹かれて未発表曲「フェラズ・リフ」を試聴したら、気に入ったので購入。

「フェラズ・リフ」という曲のタイトル通り、フェラ・クティ風の縦ノリ反復が延々と続くインストゥルメンタル。フェラのファンなので、楽しく聴ける一曲でした。デヴィッド・バーンのヘナヘナしたヴォーカルが苦手なので、インストなのは嬉しいところです。

他の未発表曲では、既発表曲「ワンス・イン・ア・ライフタイム」から、ヴォーカルを抜いたような「ライト・スタート」が、鬼のようにフレーズを反復する格好好いファンクで、印象に残りました。

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SFマガジン2009年3月号「2008年度・英米SF受賞作特集」

英米の出版状況を嘆くコメントは、例年通り

グレッグ・イーガン「暗黒整数」☆0
「ルミナス」の設定を再利用した、戦争物。再利用でネタに驚きが無いと…

エリザベス・ベア「受け継ぐ者」☆1
「まほろまてぃっく」終盤とかを連想する定番泣かせ。

デイヴィッド・モールズ「フィニステラ」☆0
南米と異世界のイメージ物?

連載 山本弘「地球移動作戦」☆0
小説を読んでいる気がしない。

連載 山田正紀「イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ」☆1
暑苦しい文体が、作者らしかったので。

蘇部健一「依頼人〈後篇〉」☆0
SF設定と語り手の誤解を使えば、何でも出来るけど。

連載 菅浩江「シズル・ザ・リッパー」☆0
最初に出てきた謎部族の話と繋がるの?

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田村ゆかり「木漏れ日の花冠」

「バンビーノ・バンビーナ」路線の乙女拡大版
7th(本人名義のオリジナルアルバム)。

嘗ての「きらら時間旅行」を思い出すアダルト歌謡+生ホーンの冒頭曲「恋のアゲハ」から一転して、軽快なシンセ・ホーンが鳴り響くポップ2曲「アンジュ・パッセ」「パピィラヴ」での、「本物感」に拘らない楽しさが象徴的。

スラップ・ベース大会で80年代フュージョン風の「エトランゼ」、パーカッション+ピアノで、Masters at Work風ハウス「Luminous Party」と、ひたすら耳障りの良い曲が沢山入ったアルバムでした。甘甘な、ふじのマナミ歌詞が多いこともあって、「バンビーノ・バンビーナ」路線の乙女臭が、アルバム全体に拡大したかのよう。この作り物っぽさに、田村ゆかりらしさ、を感じます。

6th「上弦の月」路線のラスト曲っぽいバラード「ひとひらの恋」で完結せず、可愛らしい「星降る夢で逢いましょう」で締めるのも、意外性があって、面白かったです。

初回盤付属のDVDは、直近のライブ「秋だ、一番!ゆかりちゃん祭り!!」のカバー曲コーナー以外を収録。参加した東京会場以外での模様を見せてくれる「MAKING」の存在が、嬉しいところです。

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海堂尊「チーム・バチスタの栄光 (上)(下)」(宝島社文庫)

シナリオみたい
医療ミステリ。

専門蘊蓄や取材情報で、リアリティを出そうとするジャンルということは、解っているつもりです。でも、新キャラが登場する度に、別の医療問題を語る、というシチュエーションが続きすぎて、繰り返しギャグに見えてしまいます。ラストのどんでん返しが、医療機器というのも、あんまりなトリック、という気がします。専門蘊蓄以外は、小説というより推理クイズのシナリオをそのまま読まされているようなテンプレートぶりですし(未見ですが、阿部寛の存在感とかで説得できるドラマ版のほうが、本物感を出せそう)。ちょっと、呆れてしまう、読後感でした。

上下2分冊する意味が解らない位に分量が少なくて、読むのが楽だったのは良し。

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持田香織「春のワルツ」

淡々と、というより、単調な歌

1stソロシングル。表題曲で共演している、Sakerock目当て。ハマケンのホワホワしたトロンボーンと、ワルツのリズムが良く似合っています。

主役の持田香織は、Every Little Thing時代に金属的な張り上げ声で、一時代を築いた人という印象を持っていましたが、本作では、淡々とした歌い方です。歌声に綺麗さが無いと、淡々とした歌い方の歌が、単調に聞こえてしまうのが残念。

ただ、インストアライブ(2009.01.31タワーレコード新宿店にて。iTunesMusicStore買いなので、遠巻きに、鑑賞。「もっちー♪」という客からの歓声に驚き。)では、もう少し声が出ていました。なので、録音物では、癒し系っぽさを意図して、あえて抑えた歌い方にしているのかも。

c/w曲「Drop」では、アコースティックギターを始めとした、チャカポコと音数の多い伴奏が、歌声の単調さを、うまくフォローしていて良かったです。

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