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石黒達昌「冬至草」(ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

医療物っぽい泣かせ、告発の大仰さはなく
2006年刊の短編集。医者というより、医学研究者を主人公とした小説。

ノンフィクション仕立ての「この世の終わりは一体どのような形になるのだろうか」を読んで以来、気になっていたので。

作者の本業がらみとはいえ、死と結びつけやすい「癌」話は、小説の題材としては美味しすぎて、少々ズルい気もしますが、医療物にありがちな泣かせ、告発の大仰さはなく、一つの物語として成立しているのが良かったです(直近に読んだのが、記号的過ぎる「チーム・バチスタの栄光」だから、というのもあります)。

実験偽装ネタを奇譚っぽく纏めた「アブサルティに関する評伝」「デ・ムーア事件」が、話の明快性で、特に面白く。「目をとじるまでの短い間」も、主人公の鬱屈を淡々と描いているので、安直な泣かせ物に堕していません。

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