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濱野智史「アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか」 (エヌティティ出版)

現状肯定的な分だけ、納得感はある和製Web論
「ザ・ネット☆スター」の番外編的Web討論会「ねとすたシリアス」の、番組副読本。

番組内で著者が紹介していた、(目の前の失敗をツイッターで慰める、という)カラオケボックスの話が面白かったのと、そのことを(「今どきの若者は」、と嘆くのでは無く)「ある意味、合理的」とフォローする、中立的な立ち位置が好印象だったので購入。

キーワードは「アーキテクチャ」。確か、「アップルシード」での格好付用語と記憶していますけれど、本書内では、Webサービスに人を誘導する仕組みを指す模様。本の内容は、ニコニコ動画(6章)や2ch(3章)といった、各Webサービスの紹介と、それらの隆盛を、ユーザーの共感欲求を上手く捉えたから、と説明するもの。紹介自体については、海外事情以外は新味無いですが、解り易いですし、「クイズ100人に聞きました」やバレーボール客席にも存在する、コール欲求は、web世代に固有のものではないと思っていましたので、日本人論に落とし込むのは、納得感がありました。

P2P(5章)やケータイ小説(7章)についても言及していますが、副題通り「いかに(how)」の説明に終始していて、価値観が絡む「何故(why)」については、積極的にノータッチ。本書の文体が、英文和訳っぽく、やたら指示代名詞を多用した客観性を強調していることもあり、文化人類学ノリの相対主義なのも、反感を持ちにくい理由、かと。

もっとも、終盤の纏めでは、生態系という生命がらみの比喩からくる、「適者生存」的現状肯定が出てきて、イヤらしい気もしますが、(東浩紀の弟子故?)、纏める為には仕方がないところでしょうか。

あと、アーキテクチャの人為制御の一例として、ネット誘惑を絶つべく、あえて漫画喫茶PCで執筆したことを紹介する、(あとがき)のセンスには、思わず、笑い。

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