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アラン・ムーア (著), エディ・キャンベル (イラスト)「フロム・ヘル(上)(下)」(みすず書房)

「各章の註解」は、本編以上に魅力的
切り裂きジャックは、王室がスキャンダル隠しに使ったフリーメーソン員ガル博士の暴走だった、とする話。

フリーメーソンは、作者のムーアが好きそうな世界を操る存在ですが、本作では、集団がメインの陰謀ではなく、ガル博士個人が勝手に殺して終わりなので、物語は一本調子に進みます。一方、警察にも影響力がある秘密結社を使えば何でも出来るわけで、謎解きの意外性も無し。

ストーリー展開より、傲慢さと誠実さとが入り交じった会話を馬車の馭者ネトリーと交わす(第4章)で、叡智を求める魔術師ノリが、朝松健「逆宇宙レイザース」巨勢玄応をちょっと連想させる、ガル博士のキャラのほうが魅力的。

絵は、馬車や石造りの建物の緻密さは、英国産らしいところでしょうか。アラーキー写真のような娼婦の裸体や、パラパラマンガのような殺人シーン(第10章)の機械的なコマ割など、コマ割や効果線でシーンの意味を示す日本マンガ文法と違いすぎて、マンガと思って読むと、疲れるところもありますが。小説の挿絵が続くようなものと思って読むべきものなのでしょう。

あと、巻末の「各章の註解」は、他のムーア作品の邦訳にあったような訳注ではなく、作者自身による各シーンを入れた意図を延々と説明しています。切り裂きジャックについての虚実の混在を語る文章は、本編以上に魅力的ですが、ちょっと説明し過ぎで、物語を自由に読む邪魔にも思えます。依拠した各参考文献との違いを示すのは、切り裂きジャックものというジャンルに仁義を切る為に、やむを得ないのかなぁ。このジャンルを、島田荘司「切り裂きジャック・百年の孤独」位しか読んだことがないのですが、同作も、確か、本作と同じように、時代を超えたものに繋げていたので、このジャンル特有のルールがあるのかも。

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