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ジュリアナ・ハットフィールド「ジュリアナ・ハットフィールド」

2012年作のカバー集。

キーボードの音色や、ロゴだけ2色刷ジャケットに、経費削減臭が炸裂していて、アコースティックなレッド・ツェッペリン「ロック・アンド・ロール」のカバー等は、少々辛いものが。

ただ、この人の魅力である、硬めのエレキギターリフの中、繰り出される可愛らしい声は健在。なので、ザ・フー「My Wife」での、「マシンガァン!」語尾の甘え声でのシャウトが、ロジャー・ダルトリー版の激しさとは別種の素晴らしさがありました。フー・ファイターズの脂っこいLAメタル乗りが、地味アレンジで中和された「ラーン・トゥ・フライ」も、聞き易くて良。

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内々けやき「エクロール」(YKコミックス)

前半部が収録されてた、アンソロジー「初体験プラスDX」を読んで、先が気になり購入。

閉鎖的で謎な「学校」で暮す少年達の交流と愛を描く「トーマの心臓」スタイル。巻末に併録された女装コメディ短編や、「マリ見て」風にタイを云々する台詞もあるので、性的少数派設定描きたい意図で出来た物語なのでしょうが、主要登場人物5人のメンタリティが、所謂、変態でなくて、普通の人なため、気色悪さは無く。

女性化を強いる「学校」側の設定や、脱走者の行末を、台詞で暗示させるだけで曖昧にしている為、不条理モノやNW-SFっぽい味わいがあります。

最近の漫画っぽい3段組が頁を食う為か、後半駆け足気味ですが、ラストの感傷的台詞には、もうちょっとだけ、この5人の物語を読んでいたい気持ちになりました。

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相沢沙呼「零時のサンドリヨン」(創元推理文庫)

女子高生奇術師を探偵役にした学園ミステリー連作。

ワトソン役主人公以外の主要登場人物は、全員女子高生で、トラウマ解放して好感度を上げるギャルゲー路線(作中ラノベについて言及有るので意図的か)。奇術蘊蓄と、伏線の律儀な提示(創元なのでミステリ作法には厳しそう)に分量を奪われる所為か、キャラ描写は、「…期限定…」や、ビブリア古書堂シリーズ辺りの、萌え特化ミステリと較べると、薄め。

それでも第1話「空回りトライアンフ」の爽やかさは好印象。

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ジョン・スコルジー「アンドロイドの夢の羊」(ハヤカワ文庫SF)

固有名詞でオマージュしただけ(そもそも原題には「の羊」無し)で、内容的にもP・K・ディック作とは無縁な、ボディ・ガードものの未来SF。

前半は、ITや法律での知恵比べが楽しいのですけれど、後半は、退役軍人会の旅行船と敵宇宙人の駆逐艦とを舞台にバトルっていて、ミリタリーSFっぽく纏めたい配慮が見えて、今一。それでも、「老人と宇宙」1の頻尿ネタを思い起こす「地球はプレイン・ヨーグルト」的下世話な掴みや、敵役アーチーを優しくフォローするラストの台詞は、スコルジーならでは!のキャッチーさが有ります。

少し、気になったのは、訳文(内田昌之)が、直訳調といいますか、堅め。「『…』グレイシーが言った。『…』レフが言った。『…』ロペスが言った。」の三連発(360頁)は、あんまりな気が。

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